約 3,642,814 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2658.html
投棄所かな、これ?判断しにくいんですがどうでしょうか? ゆっくりは大根一本で一家族が3日間楽に生活できるとしてください。 虐待成分薄いです。描写はあえて飛ばしました。 騎馬めーりんがチョイ役で使われています。 た、たまには虐待お兄さん方が怒られてもいいよね! 近年突如現れた謎生物(なまもの)ゆっくり。 山林で主に数を増やしたこやつ等は人里に降りては村の畑を荒らしたりした。 野菜が生活の糧である農家にとっては洒落にならない事態であったので、即座にあ奴らは駆除すべきだ!という意見があがった。 が、しかし長は言った。 「いや、待て。あ奴らをつぶすのは容易い。だが、ゆっくり達と共存できる方法もあるはずだ」 「きょ、共存!!あ、あの野菜泥棒とぉ!?」 唐突過ぎるその発言に皆は色めき立つ。 「待て待て、あ奴らを野菜泥棒と決め付けるのは早いぞ」 と、若い農夫が声を上げる。村の長の息子だ。 「早いってどういうことだ?」 「あいつらは野菜を勝手に生えている、と思っている。それで俺達はそれを独占している、と思っているみたいなんですよ」 「なお悪いわ!」 「つぅか、人の苦労も知らずにあんたもあいつらも……」 この青年、あまり畑仕事をせずに山を登ったり、文書を遠方から送ってもらったり、と日頃汗水たらして働いている村人から見れば遊んでいるようにしか見えなかった。 「いや、だからさ。独占している、と思っているんならさ。何かと交換で野菜をやれば文句は無い、と思うんですよ」 「何かと交換~?あいつらが持ってるのはどうせ草やら葉っぱだろ?」 「だから、その草ですよ」 青年がいうには村の西にある台地に珍しい薬草があった。これは竹林に最近やってきた医師からのお墨付きを得ている。 しかし、この台地に行く細道はかなりもろく人一人通ることもできなかった。 そう人間ならば。 青年はゆっくりに薬草を持ってきてもらい、その代償に野菜を渡す、という物々交換を行うという提案だった。 「あいつらに野菜を持っていかれるのは……」 と村人は当初は渋っていたが 「だけど、ゆっくりに少量の野菜を渡すことでより高価な品を手に入れることができるんですよ?」 という青年の一言に屈した。 「まぁ、急にこうしろなんて言っても無茶な話です。ここは試しにやってみましょうよ」 青年はニコニコしながら話を結んだ。 「と言うことですから明日ゆっくりの群れにこの話してきますんで」 『まだしてなかったんかい!』 さすがにそれには皆がツッコミを入れた。 翌日のこと。ゆっくりの群れに数人の村人がやってきていた。 青年は長であるぱちゅりぃに例の薬草を見せて語りかける。 「コレを見たことはあるかい?」 「むきゅ、あのゆっくりぷれいすにあるにがいくささんね!」 「コレは人間にとっては凄く大事な草でね。それを持ってきてくれれば私達のゆっくりプレイスに生えている野菜さんを少しだけど分けてあげるよ」 「むきゅ!そ、それはほんとなの!?」 それを聞いてぱちゅりぃは顔色を変える。今までは美味しい野菜を手に入れるには命がけで、しかも手に入れることができるのは少量だった。 しかし、苦い草をある程度持っていけば、野菜をほぼ安全に一定の量が手に入る。この違いは大きい。 「ああ、本当だよ。その代わり畑からは勝手に野菜を取らないでくれ。もし盗った場合は そのゆっくりが何をされても文句は言わないでほしい。 その代わり、コチラも君達を苛めたりはしない」 「むきゅぅ……」 少し、ぱちゅりぃは考えて 「わかったわ! そのじょうけんでいいわ!」 「納得してくれて何より。 じゃあ明日からお願いするよ? この草以外でも交換できるものがあるからそれは交換所においておくからね。それを持ってきてもいいよ」 「むきゅ! まかせてね!」 さっそくこの提案を群れに伝達させてもらう。反対するゆっくり達もいたが、少しずつ理解してもらうことにしよう。 「じゃ、村の外れに交換所を作るからね?そこに草を持ってきたら野菜をあげるよ」 「わかったわ!」 実をいうとこれは、かなり穴がある提案だった。 交換所の村人が強欲で目盛りに細工をすれば多めに薬草を奪うこともできるし、 ゆっくりの側でも草を自分から取りに行かずとも草を採取し、 こちらに持ってくる途中に奪って自分が採ってきたと報告すれば野菜がもらえるからだ。 村人の側は青年が細工をすることを止めさせた。 「それで大量に持ってこられても薬草の値崩れ起こしますし、第一肝心の薬草が生えてこなくなったら大変じゃないですか」 「野菜の数は数えてるんで纏まった量を持ってきたらちゃんと渡してあげてくださいね?」 断っておくが青年は別に愛護派ではない。しかし、一度決めた約束はどんな動物にでも履行すべきだ、と考えてるだけである。 ゆっくりがいなかったら別の何かを探して、別の方法で契約をしていただろう。 ゲスゆっくり対策はゆっくり達の泥棒をなんとかしてほしい、という訴えが来てから対策に着手した。 まず被害にあったゆっくりまりさを交換所にこっそり配置してそのゲスが来るのを待つ。 そして「あいつだよ!」とまりさが叫んだゆっくりを即座に確保・即刻加工所か不当に得た野菜×規程の日数分人里で働くか(生ゴミ程度だが食事は出す)を選んでもらう。 人里でゆっくりが働けるものなどあるまい、とお思いだがある程度の大きさのゆっくりならば案外いろいろ働ける。 (監視は付くが)畑の雑草取り、狭いところの掃除などで案外使えるものだ。また、こういった制裁を受けたゆっくりには飾りにそれを示すマークを付け、再犯を防止する。 一度目は人間の手で裁くが、二度目は群れで裁いてもらうことになるわけだ。 そんなこんなで体制が整ってきたら村とゆっくりは比較的他より友好になった。 畑泥棒の頻度は大きく減少し、逆に手伝うようにまでなったのだからまぁ普通そうなる。 しかし、それが面白くない者たちも当然いた。虐待お兄さんである。 「くっそぉ、長のとこの放蕩息子のせいで俺らの楽しみが無くなっちまった……」 今までは畑泥棒のゆっくりを仕置きする、という大義名分を振るってゆっくり達を思う存分虐めることができた。 しかし、今ではそんなことをしたら村八分、そんな風潮が出来上がっていた。 こちらからダメならゆっくり側から仕向けさせようと目盛りに細工をしたが青年に釘をさされてそれもオジャンだ。 「面白くねぇ……うん?」 たまたま、森ですぃーに乗った騎馬めーりんの群れを見つけた。 「そうだ……」 虐待お兄さんの唇の端がニィと吊りあがった。 数日後 「え?いつも来るはずのゆっくり達が来ない?」 「はい、この時期は冬篭りが近いですから食料は多いに越したことはないはずなのに……」 交換所のお姉さんはオロオロしている。 「う~ん、じゃ、ちょっと群れの方を見てくるよ、もしかしたら纏めて持ってくるのかもしれないし」 そうして青年は数人ほどの村人を連れて森に向かった。 「こ、これは一体……!」 群れのいた場所はコレでもかというぐらいに荒らされていた。 長のぱちゅりぃだろう遺体も殆ど原型が残っていない。 すぃーの後があった事から騎馬ゆっくりの犯行と見られる。だが、 「騎馬ゆっくりは逆方向に向かっていたはずだ……、急に方向を転換するなんておかしい」 「若ぁ、まだあいつ等この辺にいるみたいです!」 「そうか………探し出すぞ」 数十分後、すぃーを止めて、休憩をしている騎馬ゆっくりの群れを発見した。 「ジャ、ジャオ!?」「い、いきなり人間が何の用だ!?と申しています」 「君達は逆の方向に移動していたはずなのに、なぜこちらに向かってきた?」 「ジャオォン!ジャオジャオ!」「ここらで悪さをするゆっくりがいるから懲らしめて欲しい、と人間に頼まれた、といっています」 「馬鹿な!? あの群れのゆっくりと私達の村は友好関係があったんだぞ!!」 「ジャ、ジャオン!?」「そ、それはどういうことだ!と言っております」 「君達は騙されたんだよ……、その人間に」 「ジャオ……」「ゴメンなさい、と言っております」 「………子供達は残っているかい? 確か君達は奴隷制があるから子供と赤子は残しているはずだ」 「ジャオ……ジャオジャオ」「ちゃんと残っている、とのことだ」 「その子達を返してくれ、それで君達の件はチャラにする」 「若!? いいんですか?」 「いいんだ、彼等は良かれ、と思ってやっただけだ。それに子供達にも薬草採りの手伝いをしていたものがいたはずだ」 薬草と交換制度を教えれば来年もこの友好関係を続けることはできる。 「ジャォォン……」「誠申し訳ない、とのことです」 「悪いのは君達じゃない、騙した人間だ。それと悪いと思っているなら一つ頼みがある」 「ジャオ?」 翌日虐待お兄さんが捕まり村八分に処された。 後書き どんなにいい提案でも遅かれ早かれこのプランは破綻してたんだと思います。 今回はたまたま人間側が引き金をひいただけなんです..
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2451.html
多数の設定をお借り 俺設定 すっきり注意 現実世界にてゆっくり ―――――――――――――――――――――――――――――― 『ゆっくりは死んだ』 ―――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆっくりしたい子集まれ~!」 と山で叫んでみた。 目的は『ゆっくり』を見つけるためだ。 ゆっくりは[ゆっくり]というキーワードに弱い。 このように叫べばたいていは来る。 山で叫んだのにもわけがある。 たいていの街のゆっくりは街に毒されてもはや『ゆっくり』とは言えない、 ただの薄汚い饅頭に成り下がっているからである。 そんな奴らにゆっくりさせる趣味はない。 「ゆゆ?おにいさんはゆっくりできるひとなの?」 「れいむゆっくりしたいよ!!」 「ゆっちゅり!ゆっちゅり!」 ほら、もうゆっくりたちが集まってきた。 「あまあまがあればゆっくりできるんだぜ!」 「まりさにきいたよ!にんげんさんはゆっくりのためにあまあまをもってきてくれるって!」 「さあはやくとかいはのありすにあまあまをもってきなさい!」 「「「あーまあま!あーまあま!」」」 あまあまがゆっくりできる存在と知っている。 ということは子供あたりに飯を要求して飴玉でも何かもらったのだろうか。 だがこんな中にも『ゆっくり』はいるはず。 えーと、集まったのは1、2、3、 「おにいさんゆっくりしないではやくあまあまもってきてね!」 「はやくもってこないとたいへんなことになるんだぜ!」 「ありすをまたせるなんてとかいはじゃないわ!」 「あまあまたべちゃいよ!」 「「「あーまあま!あーまあま!」」」 数えている最中にもお構いなしにぬるぬる動くゆっくり達。 そんな時のためにシールを持ってきておいた。 これなら確実に集計できる。 ようやく数え終わった。 成体が・・・れいむ15匹、まりさ26匹、ありす8匹。 幼体が・・・れいむ24匹、まりさ28匹、ありす13匹。 赤ちゃんが・・・れいむ40匹、まりさ43匹、ありす20匹か。 興味深いのはありす種の多さ。 ありすにはレイパーが多いと聞くが。これらは性欲を「とかいは」精神とかで抑えでもいるのか? とにかく、これで材料は揃った。 「ゆっくりしたい子はこの箱の中に入ってくださ~い」 「「「ゆっくりはいるよ!!!」」」 やはりゆっくりできるということには積極的だな。 声をそろえてどんどん箱の中に入っていく。 「さぁ、ゆっくりプレイスにしゅっぱーつ!」 「「「しゅっぱーつ!!!」」」 これだけのゆっくりが入った箱は相当重い。 鍛えててよかった。 「ゆべっ!」 「ゆっくりおさないでよ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 「あがぢゃんがづぶれぢゃう゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!!」 持っていく最中に声が聞こえるが気にしない。 こうして計217匹のゆっくりが、 お兄さん宅のドームのような形の大きな庭まで連れてこられた。 一面自然の芝で埋めつくされて青臭いにおいをプンプンさせている。 「ゆっくりプレイスに到着だよー」 と箱の口を開けた瞬間 「「「「ゆっくりとうちゃくしたよ!!」」」」 大量のゆっくりがすし詰めの環境から逃れるように、 次々と外へと吐き出されていく。 庭の緑があっという間に肌色に染まっていく。 「ゆっくりできそうなところだね!」 「おもったよりせまいがゆっくりしてやるぜ!」 「ここがゆっくりプレイスね。ちょっといなかくさいけどがまんしてあげる!」 「「「ゆっちゅりー!」」」 箱の底を見てみると赤ちゃんゆっくりがいくらか潰れていた。 髪飾りの数から推定すると、 赤れいむが17匹、赤まりさが23匹、赤ありすが8匹。 ゆっくりは3よりも大きな数を数えられないと聞く。 そういう細かいことを気にしないゆっくりはやはりいい。 私は『ゆっくり』が大好きだ。 だから『ゆっくり』をゆっくりプレイスに連れてきた。 彼らには極限までゆっくりらしくさせてやりたい。 だがそのゆっくりのなかに『ゆっくり』でないゆっくりが混じっている。 私は『ゆっくり』ではないゆっくりは大嫌いだ。 言うなら彼らはゆっくりの皮を被った悪魔だ。 見つけ次第すぐさま駆逐したい。 「ゆっくりのみんな!ここは『ゆっくり』のゆっくりプレイスなんだ! ゆっくりじゃないゆっくりはゆっくりできません!」 「ゆゆ?おにいさんれいむはゆっくりだよ?」 「そんなこともわからないなんておにいさんはばかなんだぜ!」 「これだかいなかものはこまるわ!!」 「「「「ゆっちゅりはゆっちゅりだよ!!」」」」 「じゃあゆっくりならちゃんと出来ることがあるよね?」 「せーの、ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「「「ゆっちゅりしていってね!!」」」 計169匹のゆっくりが声をそろえて叫んだ。 この段階ではまだ誰がゆっくりかそうでないかはわからない。 悪魔はずる賢い。 「ゆっくりしていってね!!」と言っておけば、 『ゆっくり』として認識されると思っている。 「おうたをうたうよ!」 「「「ゆ~ゆゆゆ♪ゆっくり~♪」」」 「「「「ゆっちゅり~ゆゆゆゆっちゅり~♪」」」」 おお、貴重なゆっくりの合唱シーン! この音の外れた感覚がたまらない。 経験ではそろそろバカな悪魔の化けの皮が剥がれる時間である。 ここからが本番だ。 「ゆゆ?れいむおなかがすいてきたよ!はやくあまあまをちょうだいね!」 「まりささまにはやくあまあまをよこすんだぜ!!」 「とかいはのれでぃをまたせるなんていなかもののすることよ! はやくあまあまもってきなさい!」 「「「「はやくちょうらいね!!」」」」 『ゆっくり』の条件その一 「『ゆっくり』はその対極に当たる『はやく』とかは一切口に出したりはしないッ!」 そう叫びながら正体を現した悪魔らを思いっきり潰す。 「ゆがっ!」 「ゆぶっ!」 「ゆべっ!」 『ゆっくり』はゆっくりしているから『ゆっくり』である。 それとは正反対の「はやい」「はやく」などの言葉は真の『ゆっくり』なら使わない。 今踏みつぶされたのは偽の『ゆっくり』、すなわち悪魔。 靴の底には餡子とカスタードクリームが混じったものがこびりついているが。 もちろんこれはゆっくりに似た悪魔の肉片だ、なんと醜い。 最初から「はやく」を使うような悪魔も多いが。 中には元から危険が多い所に住んでいて日常的に「はやく」を使わざるを得なかったゆっくりや、 最近危険なものが多くなってきたので「はやく」と叫んでないとゆっくりできなかったゆっくりもいるだろう。 しかしゆっくりを忘れてしまっていたゆっくりはすでにゆっくりではなく、 悪魔に魂を売ったただの気持ち悪い饅頭である。 「ゆっくり」という神から授かった祝詞を捨てて、 「はやく」とかいう汚れた悪魔の言葉を使うような そんな汚らわしき饅頭は真っ先に潰れるのがお似合いだ。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「どお゛お゛お゛じでぞんなごどをずるのお゛お゛お゛お゛??」 「あがぢゃんをがえぜえ゛え゛ぇぇ!あがぢゃんをがえぜえ゛え゛ぇぇ!」 「ごんな゛のどがいばじゃないばあ゛わ゛わ゛わ゛わ゛!!!」 「ゆっぐりでぎないおにいざんばゆっぐりじねええ゛え゛え゛!!」 「「「ゆびぇーん!!ゆびぇーん!!」」」 「ここは『ゆっくり』のゆっくりプレイスなんだ。 さっき潰したのはゆっくりじゃないゆっくりだったんだよ」 「うぞをいう゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!」 「『はやく』とか言っているのはゆっくりじゃないんだ、ゆっくり理解してね!」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「もうおうぢがえるう゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 目の前で同族(に似ているもの)が殺されたのだ、錯乱するのも無理はないだろう。 だが、あれは『ゆっくり』であって『ゆっくり』でない。 きっと本物の『ゆっくり』はゆっくりと気づいてくれているハズだ。 「みんな~!ご飯の時間ですよ~!」 「ゆゆ?ごはん?」 「ごはんだぜ!」 「とかいははゆっくりまってたわよ!」 「「「ごーはーん!ごーはーん!」」」 ご飯と聞いて目の色が変わったゆっくりたち。 残ったゆっくり達にそれぞれの体に応じたゆっくりフード(自然風味)を振舞う。 みんな行儀良く待ってくれている。 先ほどの光景を見てまだ「はやくもってこい」なんて言うのは、 恐ろしく頭の弱い悪魔だ、さすがにそこまでバカじゃない。 「さぁ、みんなでいただきまーす!」 「「「「ゆっくりいただきまーす!!」」」」」 「「「ゆっちゅりいただきまーす!!」」」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー」 「はむっ、まじうめぇ!ぱねぇ!」 「むーちゃ♪むーちゃ♪ちあわちぇ~♪」 ゆっくりは自らの行動を擬音で表現する癖がある。 あぁ、なんてかわいらしい声なんだろう・・・。 「ゆ?おきゃあちゃん!もうごはんなくなっちゃったよ! もっちょちあわちぇーちたい!」 「まりしゃこれだけじゃたりないんだじぇ!」 「ときゃいはのれでぃはこれくりゃいじゃまんぞくしにゃいわ!」 「れいむもまだたべたいよ!」 「もっとまじうめぇ!したいんだぜ!」 「とかいはのありすはまだたべれるわ!」 もちろんお兄さんはご飯の量を減らしたりはしていない。 次のご飯までゆっくり過ごせるだけの量を与えたつもりなのだが。 「おにいさん!もっとごはんをもってきてね!!!」 「だぜ!!」 「のよ!!」 「なんだ、もう無くなっちゃったのか、もうお腹いっぱいだろ?」 「「「どおしてそんなこというのおおおお??」」」 「もっとごはんあるんでしょ?もってきてよ!!」 「いじわるなおにいさんはゆっくりできないんだぜ!!」 「もっともってくるのがとかいはのまなーでしょ!!」 「あとあまあまももってきてね!」 『ゆっくり』の条件その二 「『ゆっくり』はご飯を必要以上に食べない!」 「ゆぼっ!」 「ゆばっ!」 「ゆぎっ!」 今度はご飯を要求するゆっくりとは似て非なるものを片っ端から袋に詰める。 「なにするの?ゆっくりおろしてね!」 「おちょらをとんでりゅみちゃい!」 それをそのまま火にくべる。 「あづいのはゆっぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!」 「ゆやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!あ゛んよが!あ゛んよが!」 「どがいばのべあ゛ーがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」 「「「ゆう゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」」」 『ゆっくり』は今日をゆっくりして『ゆっくり』である。 飯をがっついて明日に備えるような『ゆっくり』は『ゆっくり』でない。 そもそもゆっくりする、そのゆっくりの過程の中で未来などは考えられないはずだ。 考えなしに植物や虫を食い尽して山を禿山にした、明日を考えられない良い例である。 今焼かれているのは今日の先を想像できる『ゆっくり』、すなわち悪魔。 基本生物は大量の食べ物にありつけた時、 「次にいつ食べられるかわからない」と自分の許容量を超えての食事を行う。 しかしゆっくりは違う。 『ゆっくり』は今日をゆっくりするのに精いっぱいだから、 「たくさん食べておけば明日何かあってもゆっくりできる」とは考えられない。 そこまで読める『ゆっくり』は何かしら悪魔と契約しているに違いない。 そんな『ゆっくり』は浄化の炎でケシズミにしてしまうに限る。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 「べべべべべべべ」 「あ゛あ゛」 こんがりを通り越してもはや炭と化した偽ゆっくり。 まだ声が聞こえるが痙攣とかその類だろう。 辺りに焦げくさく甘ったるい匂いが広がる。 「ゆべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇ??!」 「どお゛お゛お゛じでぞんなごどをずるのお゛お゛お゛ぉぉぉ?? ばがなのお゛お゛お゛ぉぉぉ?!じぬのお゛お゛お゛ぉぉぉ?!」 「お゛だがずいでだだげでじょう゛う゛う゛う゛??」 「いながもののぐぜにい゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「ゆっぐりでぎないぐぞじじい゛ばゆっぐり、いまずぐじねええ゛え゛え゛!!」 「「「ゆびゅゅぇーん!!ゆびゅゅぇーん!!」」」 おや?今「『いますぐ』しね」とか聞こえたな。 「お前もゆっくりじゃなかったか」 「じねええ゛え゛え゛ぐぞじじい゛!!いまずぐじねええ゛え゛え゛!!!」 プチッ! 「死ぬのはお前だ!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「さっきも言ったとおりここは『ゆっくり』のゆっくりプレイスなんだ。 さっき燃やされたのはゆっくりじゃないゆっくりだったんだよ」 「うぞづぎい゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!」 「ご飯を食べ過ぎるゆっくりはゆっくりじゃないんだ、ゆっくり理解してね!」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「おうぢい゛!!おうぢい゛!!ごごい゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」 「どうした?ゆっくり出来てないぞ? ゆっくりだったらもっとゆっくりしたらどうだ」 「ゆっぐり゛でぎるわげないでじょお゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!!」 ―――――――――――――――――――――――――――――― 日も落ちてきたのでゆっくりの数を確認。 残ったのは、 成体が・・・れいむ1匹、まりさ2匹、ありす1匹。 幼体が・・・れいむ10匹、まりさ7匹、ありす4匹。 赤ちゃんが・・・れいむ11匹、まりさ9匹、ありす8匹・・・と。 大人の数が一気に減った。やはり成長していくと心のスキマに何か入り込むのだろうか。 少なくなってきたとはいえ、まだ悪魔が潜んでいる可能性は十分ある。 このままずっと観察したいところだ、あいにく仕事が残っているのを思い出した。 確か明日の夜が納期だったか。 最近ゆっくりに気を取られててすっかり忘れていた。 今から本気でとりかかったら明日の夕方までかかりそうだ。 「じゃ、ご飯ここ置いておくからゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 「「ゆっちゅりしていってね!!」」 どんなに辛い時も悲しい時も、 「ゆっくりしていってね」と言われれば「ゆっくりしていってね」と返してくれる。 こんなかわいい生き物のフリをするなんて・・・汚い流石悪魔汚い。 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」 「・・・うめぇ」 あーやっぱりゆっくりの食事風景はいつ見てもいい。 ずっと食事させていたいくらいだが、それではお歌の時間がなくなってしまう。 バランスが大事だと思うんだ。 「じゃ、おやすみ。明日の夕方あたりにでもゆっくりしたお顔を見せて お兄さんをゆっくりさせてね。」 ―――――――――――――――――――――――――――――― お兄さんがおやすみと言った後、「ゆっくり」のゆっくりプレイスと銘打たれたお庭では、 運よく生き残ったゆっくりが、もしかしたら次は自分かもしれない、 と恐怖の涙で芝を濡らしながら夜を過ごしていた。 「う゛っ・・・ぐすん・・・」 「おちびちゃん・・・」 「もっとみんなでゆっくりしたかったよ・・・」 「おうちかえりたい・・・」 どのゆっくりも絶望に暮れている中、一人考え込んでいるまりさがいた。 「ゆ~ん・・・」 ここから脱出するにはどうすれば良いのか。 周りの壁を壊す? 無理だ、相当堅そうでいつものようにはいかない。 では土を掘って外に出る? これも無理、固い土なので時間がかかりすぎる。 ならば入ってきた扉を壊すのはどうだ? 重そうな扉だがよく見ると少しだけスキマが見える。 体当たりしていけばやがて扉が開くのではないだろうか。 これはやるしかない! 「みんな!とびらさんをあけておうちにかえるんだぜ!!」 こんなゆっくりできない所から脱出したい! それは誰もが思っている。 ならば話に乗ってくれる! だが、返ってきたのは予想外の答えだった。 「そんなのはむりだよ・・・」 「どうせあきっこないわ!」 「やるんならまりさだけでやれなんだぜ!」 「どぼじでぞんなごどをいうんだぜえええぇぇぇ??」 意見は速攻で否定された。 このままここにいればあのお兄さんは何かしら因縁をつけて襲ってくる。 まだまりさは死にたくない。 かつて街に降りてその時一目ぼれした美れいむとすっきりするまでは。 「もういいんだぜ!まりささまひとりでこわすんだぜ!!」 近づいてみると扉は予想以上に大きかった。 だが、あの美れいむとすっきりするためにはやるしかない。 「ゆおおおおおおおおおおおおお!」 まりさは思いっきり加速をつけてそびえ立つ扉に体当たり! ゴーン! ポスッ 「いだいんだぜぇぇぇ!」 全身全霊を込めた体当たりは扉を動かすことはできなかった。 しかも鉄の扉にぶち当たったので正面より激しい痛みが走る。 「でもぉ、これくらいでたおれるまりささまじゃないんだぜ!」 再び激しく扉にぶつかる。 ゴーン! ポスッ 「ゆあ゛あ゛あ゛!」 「ふー・・・ふー・・・」 二度目の衝撃を受けて早くも意識が朦朧としているまりさ。 だがあきらめるわけにはいかなかった。 (「まりさかっこいいね!」) あの美れいむの声が聞こえた気がした。 そんな、ここには芋れいむしかいないのに。 「れいむ!どこにいるんだぜ?ゆっくりでてくるんだぜ!!」 (「がんばって、まりさ!」) そうだ、これくらいではへばってはいけない。 だってれいむはまりさのことを待っててくれているのだから。 れいむはまりさとのすっきりを待っているのだから。 (「がんばって、まりさ!」) れいむの声が聞こえてきた。 どこからか見てくれてるの?れいむ、どこにいる? 「れいむのためにぃぃぃ!」 ゴーン! ポスッ 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」 (「まりさとゆっくりしたいな!」) 「れいむうううぅぅぅぅ!」 ゴーン! ポスッ 「ゆ゛・・・う゛・・・」 (「まりさ、すっきり・・・しよ?」) (「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛すっきりー!」) 「うがあ゛あ゛あ゛!」 ゴーン! ポスッ (「みて、れいむにんっしんしたよ!」) (「ゆっくりしたあかちゃんだよね?だってまりさとのあかちゃんだもの!」) 「れ゛い゛む゛!」 ゴーン! ポスッ (「ゆぎぎぎぎ!あかちゃんがうまれるよ!」) (「ゆっちゅりしていってね!!」「ゆっくりしていってね!!」) 「お゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 ゴーン! ポスッ (「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」) (「かぞくでたべるごはんはとってもゆっくりできるね!」) 「の゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 ゴーン! ポスッ 度重なる体当たりはまりさより意識を奪っていた。 彼を動かすのはどこからか聞こえてくるあのれいむの声。 ゴーン! ポスッ 「でぼっ!」 ゴーン! ポスッ 「でぼねっ!」 ゴーン! ポスッ 「あかちゃんはべつにい゛ら゛な゛い゛よ゛!」 ゴーン! ポスッ 「れいむとはずっぎりしたいだげな゛ん゛だよ゛!!」 ゴーン! ポスッ 彼の幻聴は応援、告白、すっきりと徐々に発展していき、 今では子を育てるところまで成長していた。 しかし彼を動かすのは「れいむとすっきりすること」これのみである。 子供なんてとんでもない、作ってしまえばたくさんすっきりできないではないか。 「ずっ゛ぎり゛り゛り゛り゛り゛り゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 グォォォォーン! ポスッ ポスッ 「ゆ゛げげげげげげっ!」 「えれえれえれ~~」 まりさの体は限界だ。 鉄の扉にぶつかり続けた顔はもみじのように真っ赤に腫れて、 飾りのぼうしもグッドデザイン賞が期待できるほどにひしゃげて、 使い込んだあんよはおろしをかけたように擦り切れていた。 「ねぇ、まりさ」 そんなまりさを見かねてれいむが声をかけてくれた。 たとえあのれいむとは程遠い芋れいむであっても、この満身創痍な体を気遣ってくれた。 まりさはうれしかった。 「ありがとうれいm」 「うるさくてゆっくりねむれないよ!!」 「へ?」 この状況では寝るしかない、どうしても寝たいというときに、 その導入を妨げる騒音と奇声を生産し続けたまりさ。 一体誰が彼に感謝しているというのだろうか。 その一言で皆の恨みつらみの思いが決壊した。 「ありすはねむいの!すいみんぶそくはとかいはのたいてきだわ!!」 「みんなめいわくしてるんだよ!」 「ゆっくりあやまってね!」 「ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!!」 「ごみくずまりさはゆっくりしね!!」 「「ゆっちゅりしね!!」」」 「しね!」「しね!」「しね!」「しね!」「しね!」 そんな、がんばったのに。 一生懸命にがんばったのに。 そんな言い方はない、あってはならない、ない、ありえない、ない、ありえない、 「れいむとすっきりしたい」という固き礎により支えられていたまりさの体でも、 多数のゆっくりの非難の声の前には崩れ落ちるしかなかった。 「がんばっだんだぜ!ばりざ、がんばったんだぜえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 こう叫んだ後、まりさは倒れた。 「ようやくごみくずまりさがだまったね!」 「これでゆっくりねむれるよ!」 「ごむくずまりさはそこでゆっくりしね!!」 こうしてゆっくり達は「ゆうゆぅ・・・」とゆっくり眠りに落ちていった。 ただ1匹を除いて。 ―――――――――――――――――――――――――――――― そして、朝がやってきた。 一番鶏の声が聞こえるか聞こえないかくらいに『ゆっくり』は活動し始める。 なぜなら朝からゆっくりするのがゆっくりという生き物であるからだ。 「ゆっくりおきるよ!」 「とかいはのあさははやいのよ!!」 「ゆっくりおはよう!ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「あかちゃんもおきてね!」 「ゆっちゅりおきるよ!」「ゆっちゅりおはよう!」 「ちゃんとできたね!ごほうびにおかあさんがすーりすーりしてあげるよ!」 「すーり♪すーり♪」 「すーり♪すーり♪しあわせー♪」 「きょうもゆっくりしてるね!!」 『ゆっくり』にとって故ゆっくりを悼む具体的な行動、 それは「そのゆっくりの分までゆっくりしてやる」というもの。 一見無神経のようにもとれるが、ゆっくりするということが上位に来ている『ゆっくり』にとって、 それが最高の供養となるのだ。 「おきゃあさん!れいみゅおうちにかえりたい!!」 「まりしゃも!」「ありしゅも!」 「おかあさんここからでてゆっくりしようよ!」 家に帰りたがる赤ちゃんや子供の横で、 大人のゆっくりはこう思っていた。 お家に帰る必要があるのだろうか? 家のある山には虫や草がたくさんあるが、毎日お腹いっぱいむーしゃむーしゃはできない。 危険もいっぱいある。ゆっくりをいじめるのに夢中な人間の子供に、 夜には捕食種であるれみりゃやふらんもいる。 風が吹けば寒いし、雨が降ってくれば冷たくてゆっくりできない。 ここはどうだろう、ご飯はお兄さんがおいしいものを持ってきてくれる。 また、子供もれみりゃもいない。風は来ないし雨は屋根があるので降ってこない。 ここはどう考えても今までいた山よりずっと安全だ。 ならばやることは一つしかない。 「じゃあきょうからここをみんなのおうちにしよう!」 「それはゆっくりしたかんがえだね!さんせいだよ!」 「さんせーい!!」「さんちぇーい!!」 「せーの」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 『ゆっくり』の代表的な特徴と言えるお家宣言。 ゆっくりできそうな所で「ゆっくりしていってね」と叫ぶ。 その時点で反対がなければ、 そこは自動的に「ゆっくりプレイス」すなわちお家として正式に認められる、というものである。 もちろん人間にとっては迷惑な話だ。 なにせちょっと家を空けていただけで、そこが「ゆっくりプレイス」となってしまうのだから。 ゆっくりはそのルールが人間にも適用されると思っている。 なので、勝手に家に上がりこんだ人間に制裁の意味合いでご飯を要求するのだ。 これが原因で各地のゆっくり反対派の数はうなぎのぼりであった。 今回の場合、お兄さんは別室で仕事中なのでそれに異論を唱えることはできない。 「・・・かえってこないね」 「やった!!」 「「「「ここはみんなのゆっくりプレイスにするよ!!」」」」 「よろこびのおうたをうたうよ!!」 「「「「ゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪ゆっくり~♪」」」」」 かくしてお兄さんのお庭はゆっくりたちの「ゆっくりプレイス」となった。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 昼ごろ、お兄さんは仕事をしながら悩んでいた。 仕事を片付けている最中でもゆっくりのことが忘れられない、 純粋なゆっくりの中に悪魔が潜んでいるなんて一時も気が休まらない、 あの庭が今も悪魔に蹂躙されているなんて腸が煮えくりかえる思いだ。 ああ、様子を見に行きたい、でも仕事が・・・。 そういえばゆっくりたちにご飯をあげるのを忘れていたような・・・? まずい、仕事してる場合じゃない! ようやく様子を見に行くための口実ができたお兄さんは庭に走った。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ガラガラガラ! 「やぁ!みんなご飯の時間だ・・・よ」 庭についたお兄さんはそこまで言って固まった。 理由は、庭で繰り広げられている光景、 「すーり♪すーり♪」 「ちあわちぇー♪」 「みんなとってもゆっくりしてるね!」 れいむ種は赤ちゃんとの愛情を確かめるかのようなすりすりを、 「たかいたかいだぜ!」 「おちょらをとんじぇるみちゃーい!」 「つぎはまりさのばんだじぇ!」 まりさ種は大人が赤ちゃんを帽子のへりに乗せてたかいたかいを、 「とかいはのごくいをおしえてあげるわ!」 「「ゆっちゅりー!」」 「これがとかいはのはねかたよ!」 ありす種は赤ちゃんに「とかいは」についての授業をして、 「まてまてー!」 「おそいんだぜー!」 「とかいはのおいあげをみなさい!」 その近くで子れいむ、子まりさ、子ありすらが追いかけっこを楽しんでいた。 「ゆー♪ゆー♪」 「ゆっくりしてるね!」 その光景は周りをもゆっくりさせる。 この光景を私は待っていた! これこそが『ゆっくり』!真実の姿!! ごめんなゆっくりたち。 こんなにいいゆっくりに悪魔なんているわけがない。 もう悪魔は全部排除してたんだな、疑ってしまってすまなかった。 お詫びと言っちゃなんだけど、ご飯をゆっくり食べてくれよ。 「やぁ!みん・」 「ゆゆ?ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!」 「ばかなにんげんはまりさたちにごはんをおいてゆっくりでていくんだぜ!」 「ここにいなかもののいばしょはないわ!!」 「ゆっちゅりでちぇいけー!」 一瞬理解できなかった。 「え?何を言ってるんだい?」 「ゆっくりプレイスにばかなにんげんははいってこないでね!」 「いっかいでりかいできないの?ばかなの?しぬの?」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!!」 「まりささまはかんだいだからあまあまでゆるしてやるぜ!」 「おお、いなかものくさいいなかものくさい」 「いにゃかものはでちぇいきぇー!」 頬をつねる、痛い。 先ほどのゆっくりした光景はどうしたんだ。 「何を・・・」 「なんでごはんをもってこないの?ぐずなの?のろまなの?」 「このままじゃゆっくりできないよ!!」 「まりささまのいかりはうちょうてんだぜ! あまあまをたくさんもってこないといたいめにあうぜ?」 「いなかものにもわかるようにとかいはのありすがゆっくりおしえてあげる! ばかなにんげんはゆっくりたちをゆっくりさせる『ぎむ』があるの!」 「ゆっくりさせてくれればありすのどれいにしてあげるわ!ゆっくりかんしゃしなさい!!」 罵倒の中さりげなく聞き捨てならない発言があった。 ゆっくりさせる「義務」だと・・・? 「おい、ありす今なんて言った?」 「もう!いなかものっておろかね! ばかなにんげんはゆっくりにゆっくりさせる『ぎむ』があるの!!」 聞き間違えではなかった。 ならばこれだけは聞いておかなければならない。 「一つだけ質問いいか?」 「あまあまついかだぜ!」 「お前たちは『ゆっくりすること』と『ゆっくりさせること』どっちが大切に思う?」 「なにあたりまえなこときいてるの?れいむが『ゆっくりすること』にきまってるでしょ!!」 「じょうだんはかおだけにするんだぜ!ゆきゃきゃきゃ!!」 「そのはっそうじたいがいなかものだわ!『ゆっくりすること』こそとかいはよ!!」 先ほどの光景のように、他のゆっくりを『ゆっくりさせる』ことを目標とした場合、 これによって、自身も『ゆっくりする』ことができれば、 どちらもゆっくりを享受できる素敵な関係を作ることが可能である。 しかし、自分を『ゆっくりする』ことを強調した場合。 これは最終的に自身が『ゆっくりすれ』ばよいということであり、 その過程で他のゆっくりを奪うことに繋がる可能性を持っている。 真のゆっくりだったら最大多数の最大幸福を得られる前者を選ぶだろう。 そして自分さえよければいいという後者を選ぶのは・・・悪魔だ。 『ゆっくり』の条件その三 「『ゆっくり』は他者のゆっくりを何よりも尊重するッ!」 「そんなことはいいからごはんをもってふげばあ゛!!!」 ようやく正体を現した悪魔めに手近にあった人間ほどの大きさの木の杭で刺し潰す。 一撃だった。悪魔に杭は効果的という話は本当のようだ。 「おがあざんになんでごどずるの゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「みゃみゃあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「もうかんだいなまりささまでもゆるさないんだぜ! れいむをころしたことをあのよでゆっくりこうかいするんだぜ!!」 とまりさが飛びかかって来た。だがゆっくりの皮をかぶった悪魔の攻撃は蚊に刺されるくらい痛くない。 むしろ蚊の方が後でかゆみが襲ってくるのでそちらの方が厄介である。 ドスッ! 「ゆべっ!!」 「なかなかやるんだぜぇ・・・」 「だがつぎでおわらしてやるんだぜ!!」 自分で攻撃しておいて勝手に傷つくなんて、おろかおろか。 再び向かってくるまりさの進路に護身用に持ち歩いている銀製のナイフを出した。 「これでおわりなんだzゆげごばっ゛!」 またもや勝手に突撃してダメージを受けるまりさ。 だが今回は少しばかり手助けをしてやった。 「いだいんだぜえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 「おとーざんじっがりじでえ゛え゛!!」 痛みから逃げるかのように辺りを転がりまりさを捕まえて、 今度は思いっきりナイフの洗礼を与える。 グサッ! 「ばりざのあんよ゛が!!」 グサッ! 「ばえがびえないんだぜえ゛え゛!!」 グサッ! 「むーっ!むーっ!」 グサグサグサグサグサ 「む゛む゛む゛む゛む゛」 次に頭部の皮だけを剥いて餡子を露出、 「む゛ーむ゛ー!!」 それに銀のナイフを突き刺しこねくり回す。 「む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 ふぅ、浄化完了。 じゃあ次はお前だ、偽ありす。 「よよよよらないでよ!いなかもの!!」 やっぱり最後は火あぶりの刑だな。 庭に置いてあった木の棒を二つ手に取りそれらを交差させて十字架を作り、偽ありすをロープで固定する。 「ほどきなさい!いますぐほどきなさいいいぃぃぃ!!」 藁の束を置いている所に十字架を立てて火を放つ。 「やべでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 藁から立ち上る炎はゆっくりとありすを焼いていく。 「あづい゛い゛い゛い゛い゛!!」 「どがいはのがみざんがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!」 ゆっくりと焼いていく。 「ゆぼぼぼぼぼぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛」 悪魔の子は悪魔というのが通例なので赤ちゃんと子供も処理しなければならない。 よく考えれば不幸なものだ、子は親を選ぶことができない。 残った赤ちゃんと子供を用意した水槽に入れていく。 「おそらをとんでるみたいー!」 「つぎはまりしゃのばんね!」 そのまま水槽に聖水の代わりのエタノールを流し込む。 「ゆ?みずしゃん!ゆっちゅりしていってね!!」 「おにいさんこれくさいよ!ゆっくりここからだしてね!!」 せめて、現世で体を清めて次はちゃんとした『ゆっくり』に生まれますように。 「(げぼっ!)ごご(げぼっ!)ゆっぐりでぎない゛い゛い゛!!」 「みずじゃんゆっぢゅりじでよぉぉ!」 「ぎぼぢばるい゛い゛い゛!!!」 聖水が口のところまで迫ってきた。 「んゆ~ れいみゅなんだきゃぽきゃぽきゃつるよ~」 「まりしゃ~きみょちいいぃぃ~」 「ありしゅ~ときゃいは~」 「ん~ほ~」 「さいこ~だぜ~」 「みょ~ふ~」 「すーりすーりしよ~」 「とけちぇくみちゃい~」 「ゆほ~」 聖水が徐々に体に染み込むにつれ精神が壊れていく。 これからしばらくすると、溶け出して餡子がぬけてしまうか、手にすっきりをし出して自滅する。 結果がわかっている以上もう見る必要はない。 水槽にゆっくり蓋をした。 「じゃあ残っているみんなはゆっくりできるよね!」 返事はなかった。 全部殺してしまったからだ。 つまり公園で捕まえたゆっくり全部が悪魔だった。 あれだけいれば一匹くらい『ゆっくり』がいると思ったのに。 『ゆっくり』、他人をゆっくりさせて自分がゆっくりし、それ以上は望まない。 10年くらい前の本にそう書いてあった。 自分は、今日も『ゆっくり』は『ゆっくり』なのか確かめたくて捕獲し、審判した。 結果次世代の彼らは、原始に持っていたハズの、ゆっくりさせることでゆっくりする過程を取り除いて、 単純に自分がゆっくりすることを重点に置いていることがわかった。 これは『ゆっくり』が進化したことに他ならない。 『ゆっくり』はすでに完成していて、これ以上何もいじるところはない素晴らしい生き物だ。 少なくとも私はそう思っている。 だから自分は進化を否定したかった。 だから原始の倫理を捨て去った『ゆっくり』を悪魔として処刑し続けた。 餡子とクリームが飛び散っている庭を眺める、これで5回目になる。 これだけ実験を繰り返しても気高き精神を今なお保持している新世代のゆっくりはいなかった。 今までは中に真ゆっくりがいると思っていたので、 むしゃむしゃもすりすりもおうたもゆっくりのする行動すべてが心をゆっくりさせてくれた。 だがそれらの中に真はいないと分かった今、 悪魔の行動を逐一観察しなければならない実験は自分にとって苦痛に他ならない。 この実験ももう終わりにしよう。 そう思った時だ。 「ゆ゛・・・」 ゆっくりの声が聞こえた。 おかしい、全員処刑してしまったのになぜゆっくりの声が聞こえる。 悪魔を取り逃してしまったのか、それとも? 「ゆ゛・・・う゛・・・」 声の方向を見ると顔面が真っ赤に腫れてゆうゆう呻いているまりさがいた。 悪魔は確実に消した。まだ生きているということは神に救われたのか? それを確認すべく声をかけてみた。 「まりさ、おまえは『ゆっくり』か?」 「ゆ・・・ゆ・・・」 「まりさ、お前は『ゆっくりすること』と『ゆっくりさせること』どっちが大事だ?」 「・・・む・・・・・・り・・・」 「いっしょに・・・・っ・り・・・たい」 「れいむ・・・ゆっ・り・・・して・・・」 まりさはれいむにゆっくりしてほしい、そして自分もゆっくりしたい。 これだけ聞き出せれば十分判断できる。 「そうか、お前は『ゆっくり』だったか」 この傷はきっと悪魔どもに負わされた傷だろう。 このまま放っておけば死んでしまう。 オレンジジュースを持ってきてまりさにかけた。 餡子という甘味でできている体にとってオレンジジュースとは万能薬に等しい。 たちまち傷が塞がっていった。 意識が戻らないのはまだ芯まで染み込んでないからか。 このまりさをどうしようか。 未だに昔の心を持っている『ゆっくり』は是非とも手元に置いておきたい。 だが、それをしてしまうと『ゆっくり』が1匹減ってしまうことになる。 このまま逃がしてやろうか。素晴らしい思想は自然と広まるものだ。 心を悪魔に懐柔されてしまったゆっくりを救うことができるのでは? 確実に1匹を残すか、未来に2匹以上になるのを期待するか。 「『ゆっくり』はゆっくりさせてゆっくりを得る」 大切なことを忘れていた、ならば選択の余地はない。 私はまりさを山に戻しに行った。 いつかこの地に昔の『ゆっくり』があふれますようにの願いを込めて。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 次の日の朝 「ゆぴーすっきり・・・」 まりさは夢を見ていた。 あの美れいむとすっきりをし続ける夢。 肌をこすりつけるたびにしっとりとした餅肌がまりさの心を虜にする。 すっきり汁も他のゆっくりと違いまるでハチミツのようで、 絶頂の瞬間なんて体の中がヴォルケイノ!その気持ちよさは格別だった。 ずっとこのままでいいや・・・。 しかし止まない雨がないように覚めない夢もない。 「ん・・・」 目を開けると木や花があった、つくりものでない自然の環境があった。 見覚えのある風景はまりさにここは連れてこられる前の山であることを伝えていた。 自分は脱出できたのだ!あの人間に勝ったのだ! 「にんげんなんてちょろいもんだぜ!」 勝利の雄叫びをあげた所で、 「れいむ!すっきりのつづきをやるんだぜ!とっととまりささまにごほうしするんだぜ!!」 返事はない。夢の相手とは現実ですっきりはできない。 「もっとすっきりしたかったんだぜ・・・」 不意にまりさに電撃が走った。 終わってしまったなら続ければいい。 現実にもあのれいむはいるのだから。 「そうだぜ!いまからあのれいむにあいにいってつづきをたのしむんだぜ!!ゆっへっへっへ」 まりさは急いで山を降りて、以前あの美れいむを見た路地に向かった。 (「れいむ、まりささまをもっともっとすっきりさせるんだぜ!」) そしてすぐ来た、あのれいむだ。 自分を一目ぼれさせて、自分を応援してくれて、自分の夢で何回もすっきりしてくれたれいむが目の前にいる! 「れいむ!まりささまとすっきりのつづきをやるんだぜ!!」 「ゆ?おにいさん!きたないまりさがこっちにくるよ!!」 「あのまりさ『すっきのつづじをするんだぜ!』とか言ってるけどお前あいつに覚えあるか? 「ぜんぜんないよ!おにいさんのおててですっきりしちゃったから、 ほかのゆっくりとすっきりなんてきもちわるくてできないよ!」 「そうか、なら潰しちゃっていいか?目障りだし」 「れいむもこれいじょうみたくないからはやくつぶしてね!!」 「すっきりするんだzぶげぼばっ!」 れいむの前に飛び出した瞬間、 まりさはれいむの飼い主によって踏みつぶされて、中身も飛び出した。 (「もっと・・・すっきりしたかったんだぜ・・・」) まりさの意識も飛び出した。 「全く気持ち悪いまりさだったな」 「そうだね!きたないまりさはえいえんにゆっくりしててね!」 終 ―――――――――――――――――――――――――――――― 補足 すっきりまりさがお兄さんトラップに引っ掛からなかったのは、 ずっと美れいむの妄想をしていたから。 意識がない状態で「ゆっくり」といっていたのはお兄さんの聞き違いで 実際は「すっきり」って言っている。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/346.html
「ここはお兄さんのおうちだよ!!」 ゆっくりれいむの家族がいない間に戯れで巣を乗っ取った 画用紙にゆっくれいむっぽい絵が描かれたポスターなのか何なのかよく分からないものは破り捨てたし 川辺にある磨かれてキラキラした石は全部穴を掘って埋めた 小箱に集められていた花や木の実、虫の死骸なんかも一緒に しばらくすると、ゆっくりれいむ一家が帰ってくる 「おにいさんだれ?そこはれいむのおうちだよ」 「あんた誰?ここはお兄さんのお家だよ」 一番最初に飛び込んできたちびゆっくりれいむにそう返してやると すごすごと巣から出て行った 外では「おかーさん、れいむたちのおうちにへんなひとがいる」とか言ってる 「失敬な」 次は母親だろうか、大きなゆっくりれいむが入ってくる 「ここはお兄さんのお家だよ。ゆっくりできないゆっくりれいむは帰ってね!!!」 「ゆっ?」 自分がゆっくりできない奴だと言われ、動揺してる 「ゆっくりできるなら、ここにいていいよ!!!」 「ゆっ?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ?ゆっくりしていってね!!!」 母親ゆっくりは混乱している 「ゆっくり聞いてね。ここはお兄さんのお家」 「ちがうよ。れいむたちのおうちだよ」 「ゆっくり証明してね」 「れいむたちのたからものがあるよ。ゆっくりさがしてね」 「ゆっくり探してもそんなもの無いよ!!」 母親ゆっくりは辺りを見回す 確かに子供たちが自分を描いてくれた絵画もないし、川原まで冒険して見つけた宝石もない たっぷりと蓄えた美味しい匂いのする食料倉庫もない 「住む所が無ければ、ここに住んでもいいよ。ただし、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ」 母親ゆっくりは思った 自分達はこの人の家を間違えて自分の物と言ったのにそれを許してくれて 帰り道の分からない自分達に家を間借りさせてくれる。なんていい人なんだ それから俺とゆっくりの共同生活が始まった 「おなかへった」 1匹の子ゆっくりが言うと、それはすぐに周りの子ゆっくりたちに波及した 「おなかへった」「なにかたべさせてね」「ゆっくりおなかへった」 俺はわざと首を傾げてやる。何を言ってるのか分からないよ。という具合に 「おにーさん、おなかへった」 ついに母親ゆっくりまで俺に食べ物をねだる 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、育てるとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 「ゆ・・・・ゆっくり理解したよ。待っててね。ご飯持って来るね」 そう言って母親ゆっくりは外に出て行く 俺はすぐさま子ゆっくりたちを風呂敷で包み川に流す この間わずか5分。虐待とか虐待じゃないとか喚く暇すら与えない 「ゆっくりかえってきたよ」 もちろん巣には俺しかいない 「ゆっ、こどもたちはどうしたの?ゆっくりせつめいしてね」 「あ、カラスに食われた」 「ゆっ!!どうしてゆっくりたすけてくれなかったの?!」 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、守るとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 「ゆ・・・ゆっくりりかいしたよ・・・」 夜も更け、ゆっくりれいむが眠る頃 俺は落ちてた木の棒で母親ゆっくりを殴る びっくりしたのだろう。母親ゆっくりは言葉通り飛び起きた 俺は間髪入れずに、母親ゆっくりを捕まえ目の前に持ってくる 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、生かすとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 そして、続ける 「ここは元々は君達のお家でした。でもお兄さんが君達の宝物をぜーんぶ捨てて、乗っ取ったの、 それに気付かずに、君は俺が親切な人だと信じ込んだの、ゆっくり理解してね」 母親ゆっくりがボロボロ涙を流す 「可哀想なのは君の子ども達。カラスに食われた?あれはウソ。ホントはお兄さんが川に捨てた 君がちゃーんと理解してたら子ども達は死なずに済んだかもね。ゆっくり理解してね」 巣から出て、母親ゆっくりを地面に置く なんか言ってるけど、涙声でよく分からない。ゆっくり理解していこう こいつも今から自分の不幸をゆっくり理解していくんだから
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1956.html
「ゆっくりちくろ」 ある男がゆっくりを求めて山へ入った。 ゆっくりが幻想郷の甘味事情を一変させて随分と経つ。 加工所による廉価で安定した供給は、芋や果実では味わえない濃い甘さを庶民の手に届くようにしたが、 日々食べるとなれば滅多に食べれない頃とは味も変わってくる。 昔は甘味と言えば滅多に食べれないからこそとんでもなく甘く、売るほうも塩を入れて少ない砂糖で甘く感じさせたり、 どぎついほどに甘い物が高級品として出回ったものだが、毎日食べれるほどに普及した今では、甘さ控えめでいくつでも食べられる味が人気だ。 しかし男はそれでは満足できなかった。頭が割れるような強烈な糖分の塊が欲しかった。 そのためには自分で作るしかない。 開けたところに出るとゆっくりがいた。近づくと 「ゆゆ!にんげんがきたよ!」 「ゆっくりにげるよ!」 などと声がする。 「まりさがおとりになるからみんなはゆっくりいそいでね!」 そう言って一匹のまりさがこちらへ向かってきた。作戦を自分でばらしているのでは世話がない。 「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ……ぜ!ば、ばかなにんげんはさっさとでていくんだぜ!」 近づいた後、人間の手が届かない所でとび跳ねながら挑発してくるまりさ。演技は大根だ。 男が目線を上げると、群れが右手の雑木林に入って行くところだった。 「なにそののろさ。うんちなの?しぬの?くやしかったらまりさをつかまえてみるんだぜ!」 男が歩きだすと大げさなほど後退して挑発し、誘うように左手へ跳ねていく。 (せめて口に出して言わなければなあ) そう思いながら男はまりさを無視して群れが消えた雑木林へ向かう。 「どぼじでそっぢにいぐのおおおお!?」 シカトされたまりさが口調も忘れて叫ぶ。 「まりざはごっぢなんだぜえええ!?ばがにずるまりざをいじめてみるんだぜええ!?」 男は顔も向けず、ゆるゆると雑木林に近づいていく。 まりさは必死に跳ねて追いつくと、ぼよんぼよんとコミカルな音を立てて男の足に体当たりをした。 「そっぢにはなにもないんだぜ!?まりざのおうぢはむこうなんだぜええええ!?」 男が歩くたびに蹴られることになりながら、まりさはまとわりつくのを止めない。転がってもすぐさま向かってくる。 雑木林に入ると逃げたはずのゆっくり達がいた。 「まりさがにんげんをひきつけてくれるかられいむたちはゆっくりできるよ!」 「ゆっくりー♪」 どうやらまりさの囮で安心していたらしい。警戒も怠ってゆっくりしている。 「みんなにげでええええええ!」 まりさの声でれいむが視線を上げると、騙したはずの人間と、土で汚れたまりさがいた。 「俺は饅頭が食いたい。一匹差し出すなら他の奴らは見逃してやろう」 男は群れの前でそう告げる。 男が目の前に現れた時は狂乱状態になったが、逃げ出そうとする奴らは 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 条件反射の硬直時間を利用して手近な枝で串刺しにされた。 「逃げたら刺す」 比較的賢いゆっくりの集まりなのか、逃走が不可能と知るとおとなしくなった。 一人差し出せば、他全員の命が助かる。ゆっくりに対しては破格の条件と言えた。では、誰が犠牲になるか。 「おにいさん!さっきはごめんなさい!おわびにまりさをたべてね!」 そう言って真っ先に声を上げたのがおとりになったまりさだった。挑発の必要がなくなったからか、だぜ口調ではなくなっている。 「まりざだめえええ」 れいむが泣いて抗議をする。 「ゆ!れいむ!むれのみんながみつかったのはまりさのせきにんだよ!れいむはまりさのぶんもゆっくりしてね!」 「まりさはむれのためにきけんなおとりをやってくれたよ!これいじょうぎせいにならなくていいよ!」 群れ全体が沈痛なムードに包まれる。さながら出征の壮行会。 「あー悪いんだけどな」 「ゆ?」 「お前は土で汚れてるから駄目」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!?」 まりさの泣き顔が歪む。いったん決まりかけた安堵感を奪われ、群れのゆっくりたちの顔には戸惑いが浮かぶ。 まさか、自分が食べられなくてはいけないのか。原始的な恐怖は餡子脳を縛るには十分過ぎた。 群れのゆっくりはどれも平均より清潔で丸々としていた。どれを食べても当たりが期待できる。 「そっちで選べないんなら勝手に選ぶぞ」 「おにいさん、れいむをたべてね!」 沈黙に痺れを切らせた男がそう声をかけると、弾かれるように先程のれいむが叫んだ。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!?」 「れいむいっぢゃだめえええ!」 「ぢんぼおおおおお!?」 「むぎゅうううう!?」 「おねーしゃんちんじゃやだあああ!」 随分と信望があるれいむなのか、群れ全体が怒号を発して引き止める。そんな群れを慈しみをこめた目で見渡したあと、 れいむは男に向き直った。 「おにいさん!れいむならだいじょうぶだよね!?これでむれのみんなはゆっくりできるんだよね!?」 「直接危害は加えん」 そう返事をしてれいむを掴み、帰ろうとする。外では手も汚いし、携行の飲料水も乏しい。 「みんな、ゆっくりしていってね!」 「「ゆ、ゆっくりしていってね!」」 「むきゅん!だめよ!」 愁嘆場に背を向けたところ、物言いがついた。 「このばでたべてくれないとにんげんはしんじられないわ!」 「なにをいっでるのばちゅりぃぃぃ!?」 すわ身代りかと思えば予想外の抗議に、まりさは信じられないといった形相で叫ぶ。 「みんなよくきいて!にんげんはずるがしこいのよ!たべたあとににげたからってうそをついてまたくるかもしれないのよ! つらいけどむれのあんぜんのためにはみんながれいむはきちんとたべられたというしょうにんになるしかないの!」 「そんな……」 なんという猜疑心。その気ならば嘘をつかずに一斉に捕まえれば済むだけなのだが、第一ゆっくり相手の約束なんざ人間の温情で 成立しているようなものなのだが、気を回す割りにはその辺の前提がすっぽり抜けている。所詮饅頭の知恵。 男は腹が減っていることは確かだったので、適当に塵を払ってかぶりつく。 「ゆっ……!」 れいむの押し殺した声が聞こえた。さらりとした上品な甘さ。美味いが、この程度なら人里で買えば済む。 「あんま美味くないなあ」 「れいむがおいしくないわけないでしょおおお!!!」 男のつぶやきに、まりさがどこかずれた反論を叫ぶ。 この短時間に感情の振幅が激しかったためか、髪が乱れて目の輝きが尋常ではない。 あちらを素直に食っておけばよかったかと思ったが、約束したのでれいむを食うことにする。しかし甘みが足りない。 ゆっくりは苦痛を味わうほどに甘くなるらしいが、汚れた手で餡子をいじりたくないし髪飾りもきちんと味わいたい。 仲間を殺すさまを見せるのがスタンダードだが、約束したのでそれも出来ない。 傷を付けずに苦痛を味あわせる方法。設備もない野外で出来ることは何か。野外だからこそ出来ることは何か。 『まりざのおうぢはむこうなんだぜええええ!?』 「あ」 思いついた。 「なあれいむ。お前の家に案内してくれないか?」 巣は目の前にあった。上手いこと根の隆起を利用して屋根にした穴だった。 中にゆっくりがいればともかく、単体としてはただの気にも留めない深めの穴だ。 奥をのぞいてみると滑らかな石や昆虫の死骸が貯め込まれていた。 「ここがれいむのおうちかあ」 男は意識して柔らかいしゃべり方で話しかける。 「大きくて住みやすそうだね。作るの大変だったろう?」 「うん……まりさもてつだってくれて、ふたりで……」 痛みに堪えながら、かじられた頬が動かぬよう小声でれいむが答える。 「まりさは一緒に住んでないの?」 「むきゅ!けっこんしてないふたりがおなじやねのしたにいるのはふうきがみだれるわ!」 ラブコメの外野のようなことを言うぱちゅりー。 あれだけ仲がいいのにつがいではないということは、大きさでは分からないがまだ成熟し切ってないのだろう。 甘みが少ないわけが納得できた。ともあれ、 「もう誰も住まないなら壊していいよね」 そう言って、足で穴を崩していく。 「れいむのおうちがあああ!」 「でいぶとまりざのだからものがああ!」 叫ぶと共にこぼれる餡子を受け止め、舐める。甘さが強くなったが、まだ足りない。 もっと悪魔のように黒く天使のように純で、まるで恋のように甘くなければ駄目だった。 土が宝物の石も昆虫も埋めていく。淵を削って落とし、深い穴が広く浅いくぼみに変わったところでよく踏んで均す。 「おもいでのだからものおおおお!」 半狂乱で掘りかかろうとするまりさ。しかし踏み固められた地面は簡単には掘り進めない。 穴掘りに夢中になっているまりさは放っておいて、男は群れの一同に語りかける。 「なあみんな。これでれいむとお別れだ。何か言っておくことはないかな?」 「れいむ、いままでありがとう……」 「みんな……」 「いやそんなんじゃなくてね」 「「?」」 「今まで気を遣って言えなかった不満、無いかな?」 「れ、れいむはまりさといちゃいちゃしすぎよ!ふしだらだわ!」 「れいむにふまんなんてないよ!」 と言っていた一同だったが、 「れいむがおいしくないと他の子も食べちゃうかもなあ」 と脅すと、口火を切ったのはぱちゅりーだった。それでもまだ注意するような物言いだ。 「とかいはにいわせてもらえばれいむはまりさにたよりすぎよ!こんかいだってもっとおくまでにげていればよかったのよ! それをれいむがあんぜんだっていうから……いうがらああああ!ぁぁあれいむじなないでぇぇええ」 責めてると思ったら泣き出すアリス。これなんてツンデレ?それも次の告発で終わる。 「おねーしゃんはまりしゃたちにおやつはきまったじかんにっていってるのに、よるまりしゃおねーしゃんとこっそりたべていてずるいよ!」 「なんでじっているのおおぅ!?」 「どういうことよれいむうううう!」 「あいびきだねわかるよー」 「まりざはわたざないがらあああ!れいむがいなくなったあどひとりじめするがらああああ!」 死にゆく者にムチ打つありす。 「むきゅ!れいむ!つごうのいいときだけるーるをおしつけるようではわるいこよ!」 追討ちをかけるぱちゅりー。 「わるいこがたべられるのはじごうじとくだねー、わかるよー」 本当に分かっているのか傷口に塩を塗り込むちぇん。 「ちぃーんぽっ」 もはや何言ってんだか人間では分からないみょん。 「「ゆっくりしんでいってね!」」 逢引が発覚しただけでこの言われよう。果たしてまりさはどれだけのフラグを立てていたのか。 さっきまではれいむは命がけで群れを救おうとする尊い犠牲だったのに、今では公開処刑、吊るし上げである。 「れいむ!たからものをほりかえしたよ!まりさはれいむのことをずうぅっとわすれないよ!」 天然スケコマシがやりとげた笑顔で戻ってきた。しかし離れていたうちに急変した場の雰囲気についていけない。 「どぼじでみんなれいむのわるぐちいっでるのおおおおお!?」 「まりさ!おいしくないれいむがわるいんだよ!」 「むきゅ!くるしむとおいしくなるということは、おいしくないれいむはくるしんでなかったのね!」 「れいむほどゆっくりしてるゆっくりがおいしくないわけないでしょおおおお!?」 「いいおもいばかりしてるわるいゆっくりなんだねー。わかるよー」 「おばえらにでいぶのなにがわがるっでいうんだあああああ!」 矢継ぎ早にれいむを罵倒されたまりさは声を張り上げて仲間に襲いかかった。 「おいしくなくてごめんなさい……おいしくなくてごめんなさい……」 れいむは泣きながら謝り続けている。そろそろいいかと餡子を舐めてみる。脊髄に衝撃が走るほどに甘い。かなりいい感じだ。 だがもうちょっといけそうか? 「れいむ。見てごらん。まりさが暴れてるよ」 そう声をかけると、れいむの目の焦点が定まる。 「まりさっ!?」 まりさは複数の仲間に体当たりを繰り返していた。ぱちゅりーは一撃で中身をこぼし、ありすとちぇんがまりさの攻撃を受け止めている。 「ちーんぽっ」 その隙にみょんが頭上からのしかかり、押さえつけた。 「まりさ!わるいのはれいむなの!」 「れいむはなに゛もわ゛るぐないいいい!」 「わるいの!おいしくないれいむはくるしんでないずるいゆっくりなの!」 「れいむ。助けたかった仲間が死にそうだねえ」 「ゆゆ!?」 「ほら、ぱちゅりー。体弱いんだろ?」 二匹だけの世界に入っていたところを引き戻す。ようやく瀕死状態のぱちゅりーに気付いたようだ。 「ああああ゛ぱちゅりぃぃぃぃ!どおじでえ゛え゛え゛え゛」 滂沱の涙で手が濡れる。甘ったるい匂いはシロップか。 「ごめんなさい!ごめんなさい!ゆっくりばっかりしているわるいれいむでごめんなさい!おいしいものたべててぼめんなさい! まりざといっじょにたべたぢょうぢょざんおいじがったですうう!おはなさんはなんでもおいじがっだですうう! つめたいおみずおいじがったでずうう!でいぶはどろみずがおにあいでしだあああ!」 どこかのマラソン選手を彷彿とさせる言葉を発し始めたれいむ。その餡子を男は鬼気迫る形相で食らう。 甘い、甘いぞ。既に舌の感覚がなくなるほどなのに、舐めるたびに甘みが毒々しく舌を打つ。甘過ぎて頭痛がする。 それでいて瑞々しく、食べるたびに喉の渇きが癒される。 「おうちにすめててごめんなざい!まりざにてづだわぜでごめんなざい!れいむはまりざをひどりじめしようどしていたわるいこでずうう! ともだぢがいてごめんなざい!みんなでずるひなたぼっごぎもちよかったですうう!あかちゃんたちかわいかったですうう! いっばいおうだをうだってゆっぐりしまじだあああ!ありずどばちゅりぃぃ、めいわくかけてごめんなさいいい! ちぇんとみょん、いつもおぞくであじをひっばっでごめんなざい!!れいむはみんなどながよぐできでてじあわぜでじたあああ!」 走馬灯のような懺悔が紡がれるたびに、騒いでいた群れが静かになる。れいむがどれだけ自分たちのことを大事に思っていたか分かったのだ。 そのれいむに、ひどいことを言ってしまった。 「ごめんなさい!れいむのことわるいゆっくりっていってごめんなさい!」 「うまれでぎでごめんんざいいい!いづもあまえででごべんなざいいい!」 詫びの言葉は届かない。れいむが錯乱状態にあるのはもちろんのこと、恐ろしい速さで男がれいむを貪っているからである。 既に顔面とそれに付随する餡子しか残っていない。それも一口で噛み砕かれる。最期におかあさんとだけ残して、れいむは男の腹に消えた。 男が我に返ると残りのゆっくり達が汚れたまま放心していた。 ぱちゅりーは死亡。まりさも強く押さえつけられて瀕死。ありす、ちぇん、みょん、とばっちりを受けて子ゆっくりもぼろぼろだ。 存在すら忘れられていた、串刺しにされたゆっくりもいる。かつての清潔さと福々しさは見る影もない。 どうしてここまでこの群れは崩壊してしまったのだろう。俺はただ美味しいお菓子が食べたかっただけなのに。 そう思いながら今度こそ男はその場を後にした。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1987.html
極力全うな虐待SSを目指してみました。 現在書いている『ゆっくり小話』とか そのほかの自分のSSとは、あんまり関係ないと思います。 なるべくゆっくりを『 』にする方向で書いてみました。 【ゆっくりということば】 「ゆーっくり!ゆーっくりー!」 ゆっくりは、ことにれいむ種はよく歌う。 子守に、喜びに、仲間との触れ合いに。 いま歌っているのは行進曲らしく、軽快な歩(?)に合わせて 高らかに声を上げ歌っている。 「ゆゆ、とってもゆっくりしたれいむだね!!」 「ほんとうね、おうたのじょうずなとかいはなれいむだわ!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 完璧なタイミングでゆっくり元気に挨拶を交わした 初対面のゆっくり同士で、こんなに息の合った挨拶はそうできない、 ありす曰く「うんめい」を感じた三匹はあっという間に意気投合し 仲良く元気に跳ね回って、思い思いにゆっくりしながら 互いの事を語り合った。 「ありすとまりさは、あっちのもりでゆっくりしてるんだぜ!!」 「とってもとかいはなドスのむれなのよ、れいむはどこでゆっくりしてるのかしら?」 ゆっくりプレイスの話は、ゆっくりにとってとてもポピュラーで 尚且つ自身がよりゆっくりするために、いつでも情報収集をかかさない 最重要事項でもある。 仲良くなったゆっくりどうしなら、当たり前にする話だ。 「ゆ…れいむはねなしぐさの、たびゆっくりなんだよ!」 その言葉を聴いて、まりさとありすはとても驚く 「た、たびゆっくり?」 「おうちをさがしてるんじゃなくって?」 ある程度成長したゆっくりは、独り立ちしてじぶんのおうちを作る。 先祖から代々おうちを受け継ぐようなゆっくりもいるが ゆっくりは姉妹が子沢山なので、お家を受け継ぐ子以外は 大体が自分達でおうちをつくる事になる。 そのとき、生まれた群から離れて 自分だけのゆっくりプレイスを探すゆっくり、というのは珍しくない。 「ちがうよっ!れいむはたくさんのむれやもりをわたって、いろんなゆっくりにあって いっしょにゆっくりしたり、れいむのしらないおうたやゆっくりできることをみてまわりたくて ずっとたびをしてきたんだよ!!」 熱っぽく語るれいむの瞳に、まりさとありすは自分たちが見たことの無い 自分達の知らない沢山のゆっくりしているゆっくり達の姿を見たような気がして うっとりゆっくりしてしまった。 「ゆゅううう!!かっこいいぜ!!」 「きっととかいはなゆっくりがたくさんいたのね!!」 二人の夢見る瞳に見つめられて、照れくさそうにリボンをゆらすれいむ。 「そうだわまりさっ、とってもとかいはなことをかんがえたの!」 「ゆへへ…まりさもきっといっしょのことをかんがえてるよ!」 二人は仲良く、タイミングを合わせて飛び上がりながら 一番高くジャンプした所で、たからかに声を上げた 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ゆゆっ!?」 ゆっくりは【ゆっくりしていってね!!】という言葉に、色々な意味を持たせる。 今まりさとありすがくちにした【ゆっくりしていってね!!】には 【自分達の群れでゆっくりして行って欲しい】と言うニュアンスが含まれていた。 「ゆぅ…」 長いたびをして来たれいむには、その言葉はとても嬉しかった。 旅ゆっくりという特殊なゆっくりを警戒する群は多い。 そうでなくても、出産や冬篭りなど 季節やタイミングに応じて排他的になることが多いゆっくりである。 こうして自分を歓待してくれる二匹を見ると とてもゆっくり出来る群なのだろう、れいむはゆっくり特有の 【ゆっくりプレイスを求める本能】を刺激され 目の前のまりさとありすの群で、ゆっくりしてみたいと心から思った。 れいむが感動に震えている間に、二人は返事を待っていた。 れいむはそれに気づき、これ以上待たせるのはゆっくり出来ないことだと思った。 「…ゆっくりしていってねっっっ!!!!!」 「ゆゅ!!」 「すごくゆっくりしてるわ!!」 れいむは待たせたお詫びに、自らの最大のゆっくりしていってねを宣言し まりさとありすの群に招待されることになった。 * * * そうして三日後 「れいむぅ…どうしてもいってしまうのぜ?」 「ずっといっしょに、ゆっくりしていけばいいじゃない!!」 涙ながらにれいむを引き止めるまりさとありすに れいむは静かに首(?)を振った。 「ひきとめてくれてうれしいよ、でもれいむはやっぱりたびゆっくり… おなじあなのなかでは、ながくゆっくりできないよ…ゆっくりりかいしてね!」 「このむらじゃゆっくりできないっていうのぜ?!」 理解できない、と言うようにまりさは声を上げる そうじゃない、そうじゃないよとれいむは言葉を続ける。 「ドスにもとめられたよ、ずっとゆっくりしていけばいいって…」 「じゃぁどうして!」 それは…、とはじめてであった時の様な 澄み切った瞳で流れていく雲の方角を見つめるれいむ。 「このむれのドスがうまれたむれが、くものながれるほうにあるんだって」 「それと、れいむがでていくことになんのかんけいがあるんだぜ?!」 「ドスのうたっていたうた、とってもゆっくりできたよね?」 「ゆ…そうね、とってもゆっくりできるわ」 「あのうたをつくったれいむが、そのむれにいるんだって」 「「ゆゆ!?」」 驚きながらも、二匹は悟った れいむはその群に、ゆっくり出来る歌を聞きに行くつもりなのだ。 「で、でもドスがむれをでたのはずっとむかしだって…」 「そうよっ!そのれいむもとっくにえいえんにゆっくりしてるわ!!」 二匹の訴えはもっともだ、でも… 「そのしそんが、のこっているかもしれない」 「そんな…」 「だから、たびをするのかだぜ?」 「うん!」 ありすはまだ引きとめようと、言葉を捜していた。 だけどまりさは、茎から生れ落ちてから 何度も何度も群の森を冒険して回ったまりさには れいむをとめることが出来ないことが、わかってしまった。 「まりさは、ずっとここでゆっくりするんだぜ!!」 「…うん」 だからついていけないと【ゆっくりする】という言葉に全てをこめる。 「ま、まりさぁ…そんな…とめないど」 「でも」とありすの言葉を遮り、まりさは叫んだ。 「…でもぉ!!もしれいむがもどってきたら、ぎっどまたいっじょにゆっぐじじようね!!!」 「ゆゆ!?」 であったその日に続いて、再びれいむはまりさの言葉に打ち震える。 制止を振り切って旅立とうとする自分に【またゆっくりしよう】と 【ずっとともだちだよ】と言ってくれたのだ! 「ゆ、ゆぅ…」 れいむは、どれほど旅を止めて優しいまりさと 綺麗でとかいはなありすと、このゆっくり出来る群でゆっくりしたいか それを口にしようとしてそれを押し殺し、たった一言 「…ゆっくぢ、していってねっっっ!!!!!」 「「ゆっぐじじでいっでね!!」」 最後の挨拶を交わし、最高にゆっくり出来る群と 旅立ってから最初の、そしてゆん生最高の友ゆっくりたちに別れを告げて 雲の流れるほうに進んでいった。 「いってしまったわね…」 目元を僅かにふやかせて 寂しそうに呟くありすに、まりさはゆっくりと近づいた。 「ありす…」 「ンッ…!?」 不意打ち気味なふたりの【ふぁーすとちゅっちゅ】 そこには小さな饅頭でしかないゆっくりの身体に 収まりきらないほどの愛情がこめられていた。 「ずっと、いっしょにゆっくりしてほしいんだぜ…」 「あ、ありすも!ずっといっしょに…ゆっくりしたいわ!!」 同じ時期に同じ群に生まれて、始めておうちからでて ずっといっしょにいた、二匹のゆっくりが結ばれた瞬間だった。 * * * 「ゅぅ…ゅぅ…」 「みゃみゃぁ…」 「ゆっくちー」 慈母の笑みを浮かべて、母となったありすは寝息を立てる赤ゆっくりを ゆっくり優しく見守っていた。 旅立ってしまったれいむは、群にかけがえの無い知識を伝えてくれた。 蜂の巣の安全なとり方、美味しいごはんの簡単な集め方、素敵なお歌。 群はますます豊かになり、厳しかったすっきりー制限もゆるめられて 自分達も三匹の赤ちゃんを産むことを許された。 今思えば、あの旅れいむは 群と自分達に幸福を運んできてくれたのかもしれない。 きっと旅先にも、沢山の幸せを運んでいくのだろう。 「(くものようなゆっくり、きっとどこにもとどまれないのね…)」 でもいつか、またフラリとあらわれて 自分達といっしょにゆっくりして欲しい。 「(そのときには、このこたちもいっしょに…)」 益体の無い考えに、微笑を浮かべながら そろそろ戻ってくるだろう愛しい夫に 帰って来たときいっしょにげんきに 【ゆっくりしていってね!】と言ってあげられるように わが子を優しくゆすって起してあげる。 「ゆっくりおきてね…ありすとまりさのかわいいおちびちゃんたち」 「ゅゅぅ…まだねむちゃいよ…」 「みゃみゃ…ぴゃぴゃはぁ…?」 「ゆっくちおにゃかすいちゃよ…」 起したばかりで、まだ半分夢の中にいる子供達 そのゆっくりした姿をカスタードに刻み込みながら 「もうすぐパパがかえってくるから、とかいはなあいさつでおでむかえしておどろかせてあげようね!」 「ゆゆ、それはゆっくりできるにぇ!」 「とっちぇもちょかいはぢゃわ!」 「さすがはみゃみゃだにぇ!」 素敵な思いつきに目を輝かせる赤ゆっくりたちとありす。 おうちの玄関に、音が近づいてきた。 赤ゆっくりには、まだ挨拶のタイミングを合わせるのは難しい。 だから自分が合図を出してあげよう。 いつかはきっと、しぜんに『あの時』の様な最高の挨拶をすることが出来るだろう 遠くない未来の出来事に、心を弾ませながら。 「いい?おちびちゃんたち…せーのでごあいさつするのよ?」 「「「ゆっくちりかいしちゃよ!!!」」」 「それじゃせー・・・の?」 ガサッ! ガサガサッ!! ガサガサガサガサッ!!! 入り口から、勢いよく這入りこんできたのは 見たことも無い、動く長いものだった。 「おちびちゃんたち!ままのおくちにはいってね!!」 「「ゆ、ゆわぁぁぁぁあぁぁぁ!!」」 「ゆっぐじできないぃぃぃぃ!!」 まりさとありす、一匹づつはすばやくありすの口の中に逃げ込むことが出来たが 若干臆病な末っ子のありすだけは、ちーちーを漏らしながら動けなくなってしまった 「(ありすのおちびちゃん…!!)」 おうちの中を這い回るゆっくり出来ない何か、家族はもはやソレがいなくなってくれるのを 声を殺して祈り続けるしかない。 テーブルを、椅子を、ベッドを おうちのなかをとかいはに彩っていたインテリア、その全てが無茶苦茶に叩き壊されていく。 逃げ遅れた末っ子は、必死に這って側面の壁に 口の中に赤ゆっくり二匹を隠したありすはおうちの一番奥の壁に張り付いて その時を待ち続けた。 口の中にじんわりと暖かい水が流れ込む。 おそらく子供達の涙とちーちーだろう、とても怖がっている。 こんな時、何も出来ない自分がもどかしい まりささえ、まりささえ返って来れば… あの強くて優しい大好きな夫が返って来ればあんなゆっくり出来ないモノ すぐにやっつけてくれるのに!! ズ、ズズ… 「(ゆゆ?!)」 引きずるような音を立てて テーブルだった平たい石だけを掴んで ゆっくり出来ないモノはおうちの入り口から消えていった。 「 してい てね!ゆっく てい て !!」 嗚呼…外から聞こえるこの声は、この声こそは 待ち続けた愛しい声、だいすきなまりさの声!! きっとやっつけてくれたんだ!やっぱりまりさはさいこうのおっとだ! 口の中に流れ続けていた甘い水が止まった。 子供達にも聞こえているのだ、すぐに窮屈な口の中から出してあげる その後いそいで逃げ遅れた末っ子ありすの身体を調べる。 おうちの中を荒らされたので、ありす同様砂埃まみれだが 何処にも怪我は無い、いつもは壊れ物を扱うようなすりすりにも思わず力が入ってしまった。 「ゆぅ…よかった、よかった…」 「「みゃみゃぁーー!!」」 「こわかっちゃよぉぉぉ!!!」 涙を流す子供達をあやし、慰めて 自分達を呼び続ける外からの声が途絶えていないことに気づく。 「あ でぃず !!」 おうちのなかに響き渡るほどの大声で心配している 「(むかえてあげないとっ…!)」 自分と子供達の元気な姿を見せてあげないと いとしい夫、だいじな赤ちゃんと、自分を恐ろしい危険から守ってくれた 家族の英雄を湛える為に、感涙すら浮かべてありすは外へと飛び出した。 * * * 「おぃコラ糞饅頭、本当にココなんだろうなぁ!?」 穴倉の中に突っ込んでいた腕を引き抜き、掴んだ石っころで まりさの後頭部にあたる部分にあけた〝孔"に差し込んでかき回す。 「ばりざはぐぞまんじゅうじゃないぎゃぎゃぎゃぎゃ!! やべで!!あ゛だばのな゛がにいでないでぐ だ ざ い!!!」 「お前の家族をさっさと呼べば、止めて!やるって!言っただろうが!!」 「ぎゅびぃぃぃぃぃ!!ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇねぇぇぇ!!!」 狂ったように穴倉に向かって【ゆっくり】と叫び続けるまりさ。 いっしょに来た村の若い連中が放った火が、既に煙を上げて森の一部ごと 饅頭の群を焼き始めている。 この森にまで、この糞どもが住み着いているとは… 苦々しい想いに、男はつばを吐き捨てた。 よくよくかんがえて見れば、兆候はあった。 山菜の穴場が荒らされていたり 茸や筍が掘り返されていたり… 猪か何かの仕業かと思っていたのだが…違っていたようだ。 それだけなら、見張りか罠でも点けていればよかっただろうが 三週間ほど前からに、コイツらは村の畑にまで手を出し始めたのだから始末に終えない。 その時は紅白饅頭一匹だったが…最近は群れて来るようになった 信じられない害饅頭どもだ…まりさを地面に踏みつけながら男は辺りを見回す。 油をかけて念入りに火達磨にしているのは この饅頭どもの首魁と思しき化け物饅頭だ 生木一本焼き尽くすような面妖な術を使うそうだが 居るのがわかっていて〝備えが有れば" 所詮は饅頭、無駄に巨大な目玉を射抜き 狙いもつけられず撃ちまくり、油を撒いただけで自滅した。 流石に大きい分しぶとく、いまだに痙攣しているが 一刻も無いうちに墨になるだろう、いいザマだ。 「ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇね!!ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇね!!!」 「チッ…!」 足元で喚き続けるまりさの〝孔" そこに刺さった平たい石を、足でゆっくりと深く差し込んでやる。 「びぎぃ!?」 「さっさと、しろよ!」 「あ あ あ ああああ!!! なにぐず ぐ ずじでる ん゛だぜ!!ざっざどででごいあでぃずぅぅぅぅぅ!!!」 村の仲間たちは、既に燃え盛る化け物饅頭の炎に 見つけたゆっくりを端から放り込んでいる。 「さっさと済ませて返りたいんだよ、これ以上刺されたくなきゃリキいれて呼べや!」 「ぎュびぃぃぃ!?」 もがき苦しむまりさ、すると巣の中からやけに嬉しそうに 気色の悪い饅頭家族が四匹も這い出してきた、キメェ。 「まりさぁぁぁぁぁぁ!!…………ゆ?」 感極まった表情から、ボロボロの糞饅頭をまじまじと見つめる同じくらいのサイズのゆっくり。 「ゅ…ぁ…、まり、さ?」 「ぁ………ありすぅぅぅ、ゆぅっくりぃ、ゆぅっくりしてぇいぃってねぇ!」 足もとで、蠢きながら【ゆっくりしていってね】と口にするまりさ。 俺はその瞬間、脚を地面にたたきつけた。 「キュベゅ…」 気色悪いのは、見た瞬間から気色悪かった。 だから潰したりせずに、炎の中に蹴りいれてお仕舞いにするつもりだった。 だが、気が変わった。 俺の踏んでいたまりさが、最後に口にしたあのくだらないゆっくりの挨拶が 【これで自分だけは助かる】と言っているように聞こえたのだ。 俺が三週間前に見つけたあの紅白饅頭が、自分の命可愛さに 【雲の来るほうにゆっくりの群】がある、と口にした時のように。 放心しているまりさの番と子供を、どうするか俺は一瞬考えて 面倒になったので放置して村の仲間と合流した。 もうすぐ冬が来る、ほおって置いても生き残りはコイツらだけ。 運がよければ冬まで生きて、飢えて凍えて死ぬだろう。 似合いの末路だ。 by古本屋
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1644.html
※ゆっくりいじめSSですが虐待成分極薄です、描写がほぼ無い;; ゆっくりではなく人間がメインだったりします。それでもよろしければお読みください。 染物 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 第2回 染物職人 染物職人の朝は早い。 日の出よりも早く床を発ち、黎明の空気を体全体で浴びる男が一人。 彼は「尾二山 猛」(ひじやま たける)さん、62歳。 彼の職業は染物職人、様々な繊維や生地に色を吹き込むことを生業にしている。 「まずは朝の空気を吸う、これが基本やな。これでその日の温度や湿度なんかを感じるんよ。」 温度計や湿度計、そんなもんよりワシの方が正確だ。 尾二山さんはそう言うと、いたずら小僧のようにニヤリと笑った。 染物と言うのは様々な素材から色素を抽出し、それで布や糸を染める技法である。 方法は様々で、単純に色を移すだけのものから、着物に一枚の名画を描きあげるまで用途は広い。 あらゆる染料、染色法を組み合わせることにより様々な効果を生み出すのだ。 そしてこの尾二山さん、ゆっくりを原料に使うという変わり染めを行っているのだ。 「ゆっくり染めは『二の三』て言うてな、染料を取る『部位』と染色の『目的』が3つずつあるんよ。」 二の三、どうやらそれがゆっくり染めの基礎らしい。 「まずは部位の三な。1つめはゆっくりの飾り、2つめが髪、3つめが餡。ここでの餡てのは餡子だけでなく中身全般を指すからな。 ほんで次が目的の三。1つめは装飾、2つめが忌避、3つめが誘引だわな。主にこれらの組み合わせで作るんよ。 まぁ聞くより見たほうが解りよいだろ。ほな作るん見に行こか。」 私達は工房へと向かった。 「まず染色液から見よか。これはまずゆっくりから飾りと髪を取るんや。」 そこでは多種多様なゆっくり達が次々とハゲ饅頭にされていた。次々と生み出されるハゲ饅頭の恨み言でなんとも賑やかだ。 「こん時、ハゲ散らかしたゆっくりを種別ごとに分けんと解らなくなるから注意な。ほんで饅頭は使う直前まで生かしとく。 これはストレスを溜めたほうがええ色が出るからな。必要だったら痛めつけることもある。」 なるほど、同じ材料でも扱い次第で出来上がりが違ってくるらしい。そこを見極めるのも職人の技と言ったところか。 「ほないっちょこ作りましょか。今回は紫色の染料をつくろうか。まずぱちゅりーの髪を5、ゆゆこの髪を2いれるな。 次にゆかりんの帽子を3、そして最後にまりさの餡を1いれると。少し黒を入れることで全体が引き締まるんな。 まりさ種は腹黒いから深みのあるええ色が出るんよ。」(※単位は匹です) そして禿げたまりさをおもむろに掴むと、「今回は深みを出そうか」そういって両目を抉りはじめた。 「ゆっがあああぁぁぁぁぁぁぁああっぁぁぁぁあぁ!!!??」 一気に抉らずじっくりくり抜いていく、その間もまりさは声をあげ苦痛を訴えている。 「で、たっぷり時間をかけて絞っていくと。」 「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!」 目玉をくり抜き終えると、尾二山さんはまりさを揉みしごきはじめた。指先が食い込む度に空洞となった目から餡が飛び出す。 このようにほぐしながら取り出すのがコツなのだそうだ。その後まりさは30分ゆっくりし、ようやく死ぬことができた。 そしてそれらを煮込むこと十数分、釜の中には固形物は見えなくなっていた。 「元が饅頭やからね、溶けるのも早いんよ。で、これを濾して完成と。」 そうして出来上がった液体は赤黒く、まるで血の様な色をしていた。 あまりに想像していたものと掛離れていたことから呆気に取られていると 「まぁ見とれって・・・・・ほれ。」 尾二山さんが木綿切れをさっと通すと、それは透き通った美しい紫に染まっていた。 「染料は見た目が濃いになるからな、こうするとよう解るやろ。」 なるほど、実際に染めてみて初めてその美しさが見えてくるわけか。 そのように私たちが感心していると 「なぁ、ちっとこれの匂い嗅いでみ?」 そういって切れを渡してきた。どういうことかと嗅いでみると 「「!!!!!」」 「どや、なかなかええ香りするやろ。」 なんとも爽やかな紫蘇の香りが鼻腔をくすぐったのだ。よくよく嗅ぐとほんのりとした甘さも含まれており、それにより紫蘇本来の鋭さが より生かされていることがわかる。尾二山さん曰く、まりぱちぇはジャスティスなのだそうだ。それくらい相性がいいのだろう。 「見た目だけでなく匂いを楽しめるんも染物のおもしろいとこやな。普通の草木染でも香りは残るんやけど、ことゆっくり染めに関しては おもしろい香りが多い。匂い自身も長持ちするしな。これを利用してふらんやれみりゃを用いることによって、ゆっくりの嫌う匂いを作 り出し、無闇に寄せ付けんようにすることも出来るんや。これは畑を囲む縄や、玄関マットだっったか?何やあのハイカラなんに使うた りするこが多いな。」 なるほど、これが目的の1の装飾と2の忌避であるわけか。すると残す3つめは? 「ああ、それは匂いが移らんように別のとこでやってます。」 そういって私達は次の部屋へと案内された。 「ゆがああああああぁぁぁぁあ!!! ごべんなざいいいいいぃぃぃ!!!」 「もう揺るじでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ひゃっはああぁぁぁぁぁ!! たまんねえええぇぇぇぇ!!! 毎日がお祭りじゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 そこには大量のゆっくりと数人の男がいた。 ゆっくり達は総じてボロボロで今にも力尽きんばかり、一方男達は文字通り有頂天、とろけんばかりのヘヴン状態である。 男達は肉体的、精神的にゆっくり達を己の手業や道具、あるいは暴言などあらゆる手練手管を用い虐め抜いていた。 「おー。皆ようやっとるのう。」 「「先生、おはようございます!!」」 尾二山さんを先生と呼ぶこの男達は一体? そう思いあぐねていると、ふと男の1人が語りはじめた。 「こんにちは、記者さんですね?私達はここで誘引用染料を仕込んでいます虐待お兄さんです。」 仕込み・・・?どうにもあの光景が染物へと繋がらない。そこで尾二山さんが口を開いた。 「今から誘引用の染物についての説明するんで、それ聞いてもらったらこの作業の意味がようわかると思います。 まず誘引やけど、これは虫なんかに見られるメスがオスを呼ぶためのホルモンやとか、あるいは光に集まる性質なんかが有名やね。 そんで、ゆっくりにおける最も強力な誘引作用を持つものは容姿の良い美ゆっくりでも、おいしい食べ物でもないんよ。 その正体ってのは死んだ仲間の飾りなんやね。それもうんと苦しんで死んだ、恨み辛みの詰まったものほど強力や。 そこで、ここでは虐待お兄さん達に極限までゆっくりを痛めつけてもろて、それから染料つくっとるんですよ。」 ここまで話してお兄さん 「私達は元々イタズラにゆっくりを虐待して回ってたんですが、ある時先生に出会いましてその才能を生かさないかと声をかけていただき ましてね。それまでは虐待と言うと世間の認識も厳しいことがありまして、まともに見られたことなんてなかったんですよ。ですが先生 は私達をそんなの一切ぬきに正面から見つめて評価してくださったんですよ。」 なるほど、そんな理由があるとは露知らず何という失礼をしてしまったのか。私達は自身の行いに恥ずかしくなり精一杯詫びた。 「いえいえ、無理もないことですから。私も今は仕込みの虐待しかできませんが、いつかは先生のように一人で作品を仕上げるまでになっ て、少しでも世間に我々虐待お兄さん達が理解されるようにがんばっていきますよ!!」 そういって笑うお兄さんの目は熱く輝いていた。私達は再度謝罪し、このことを記事で世の人々に伝えることを約束した。 「ほな纏まったところで実際に染めていきましょか。まず特製の釜を火にかけるんですが、この釜からもう違うんよ。」 そう言われて見た釜は先ほどの部屋のものとは全く違うものであった。 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」 何と釜の正体は特大サイズのゆっくりだったのだ! 「でかいゆっくりの中身を死なん程度に抜いて、外皮を特殊なこんにゃく液で固めたもんや。漆なんかも試してみたけど意外とこんにゃく が一番しっくり来てな。この釜を使うことで込められる怨嗟がより強力なもんになるんよな。そんでここにさっき用意しといたゆっくり 達を入れて、なかなか死なんように加熱していくと。で、流石にそのうち力尽きるんで全部がそうなったらここで初めて水いれるんやな 。後はこいつを濾して完成や。これで染めた布を球状のもんに着けとくだけでおもろいようにゆっくりが集まるんや。罠なんかを使うて 一網打尽にする時や、ドスサイズのを討伐する時に矢にくくって打ち込んで混乱させたり、主に討伐に用いられるな。死んだゆっくりの 飾りをそのまま使うてもこの効果はある、けどここまで凝縮したこれの威力は半端でない。染めた物の強度に依存するから手荒く扱う ても平気やし、雨なんかにも強いしな。」 そうしてしばらく、この部屋が隔離されているのは他の布に匂いが移らんためだ、卸先は主に加工場であるなどの講義が続いた。 そして夕刻 「これで今日の仕事は終いや、長いことおつかれさんな!」 笑いながら尾二山さんは労いの言葉をかけてくれた。 「染物ってのは不思議なもんでな、材料や方法もさることながら作り手が変わってもガラッとさまを変えてまう。 自慢やないけどな、ワシのつくる染物はワシにしか作れんのよ。もちろんさっきのお兄さん達も、あいつらだけの染物持っとる。 もっともワシのがまだまだ上やけどな。まぁそれはともかく、こんなワシの作るもんでも喜んでくれる人がおるわけよ。 その人達に応えるためにも、ワシはまだまだこの仕事を続けていくんよ。ゆっくりて言うおもろい素材も謎が多いしな。 つまり、何が言いたいかって言うと何か夢中になれるもんを見つけて欲しいんよ。もちろん染物で無くてもいい。 何かに夢中になれる、ひた向きになれるってのは幸せなことやからな。そんで、もし染物に興味がわいたなら内に来たらええ。 いつでも誰でも歓迎したるからな。それだけや、長々臭いこと言うてすまんのぉ。」 そう言葉を紡ぐ尾二山さん照れた様子ながらも、その瞳はどこまでも真っ直ぐであった。 最後に私達は握手を交わした。尾二山さんの手は燃えるように熱く、そして力強かった。 今日も一人、己とまっすぐに向き合う男が釜へと向かう。 自身の情熱のため、そしてそんな彼を慕うもの達のために尾二山さんは挑戦し続ける。 染物職人の朝は早い。 終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 今までに書いちゃったの ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ 和三盆 みかん修正版(温州蜜柑) 水虫 水虫(治療編) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1670.html
※あんまゆっくりいじめてないです ニコニコ動画とかそう言うネタがたっぷりあります、嫌いな方は注意 ガチムチです 森の妖精 ゆっくり達の住む森の中、ここに一軒の家が建っている。 ここはゆっくり専用の病院、そこでは日夜男達が傷ついたゆっくりを癒している。 人は彼らに敬意を込めて『森の妖精』と呼ぶ。 「ごめんくださーい。」 「あぁん?お客さん?」 男が来客に応える、彼はここの主治医のビリー。ありとあらゆるゆっくりを治療するプロ中のプロだ。 他の病院のメンバーも彼には一目置いており、尊敬と親しみを込めて兄貴と呼んでいる。 「実はうちのまりさが妊娠してしまいまして、その・・・中絶して欲しいのです。」 「どういうことなの・・・?」 難産のゆっくりを助産したことはあったものの、自分の飼いゆっくりの子供を殺して欲しいなどと言う依頼ははじめてだ。 流石の兄貴も困惑していると、ポツポツと飼い主の男が話し始めた。 「というのも、うちのまりさの子供は望んで出来た訳ではないんです。昨日私の家に1匹の野良ありすが入ってきまして、 私が少し目を離した隙に襲われてしまったんですね。」 「最近のありすはだらしねぇなぁ・・・あぁもうだらしねぇ!!」 流石に温和な兄貴も、そんな赤さんも驚きな外道なありすの行ないに対しては怒りを覚えた。 「まりさ自身もお腹の子供を受け入れられないようでして、苦しむ姿を見かねて御相談に来たんです。 それとそのありすも捕まえたんですが、甘いとはわかってるんですが、どうしても潰すことが出来なくて。 そこで、出来ればありすの去勢もお願いできませんでしょうか?せめて被害の拡大だけでも抑えたいんです。」 「そうか・・・辛いのう、ヤス。準備するから午後にカモン!!」 「ありがとうございます!ただ私はヤスと言う名前ではないんですが・・・。」 「いやぁ、サーセン。」 そういって病院を後にする男の背を見送る。ヤりきれないな、そう思いながら兄貴は準備に取り掛かった。 「食後のデザートお持ちしましょうか?」 「NO、テリー。おいなりさんは3時のおやつだ。」 「わかりました、ただ今日のおやつはトンガリコーンですよ。」 「最強!!トンガリ☆コーン!!」 兄貴達が食後のそんなやりとりを行っていると、朝の男が訪ねてきた。 その手には2つのケージが下げられており、その中にはまりさとありすが詰められている。 「すいません。少し早いと思いましたが、居ても立ってもいられなくて・・・。」 「おーけーヤス。カモンレッツゴー!」 そう言って兄貴達は手術室へと向かった。 「それではまず、まりさの中絶を行います。よろしいですか?」 「はい、お願いします。」 「ゆっくりおねがいするよ・・・。」 助手の看護師が優しくたずねると、男とまりさは了承した。 ただ一人ありすが 「なんでぞんな”ごどずるのおおぉぉぉぉ!!?」 「あぁん? 何の問題ですか?」 「あ”りずとまりざのがわいいあかちゃんをごろずひどいじじいはじねえぇぇぇぇ!!」 「すぐそういう事言う・・・Fuck You !!」 泣きながら講義の声をあげるもの、周囲の人々に一蹴される。 そんなありすをケージごと机の上にのせて、その正面にまりさをおろした。 「おーけーまりさ。すぐ楽になるんだね、痛くないね。」 兄貴はまりさをリラックスさせる。何気ない一言だが、兄貴の海より深い優しさが伺われる。 そして背中に手を添えると 「超スピードゥ!!」 「ゆっっっ!!?」 キュッポーン!!! 目にも留まらぬ速さで赤ちゃんが発射された、そしてその先にはありすのケージ。 ビチャアァ!! 「ゆっがあああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!??」 ありすの眼前には透明な壁に激突してグチャグチャに潰れた饅頭があった。 その形相は驚きと苦痛に染まり、大きく目を見開きその瞳にありすを映していた。 ゆ・っ・く・り・・・・・ 僅かに口がそう動くと、それはもう2度と動くことはなかった。 その赤ちゃんはあまりの速さに飾りが吹っ飛び、髪の色も同じ金髪のため、ありすかまりさかそれすら解らなかった。 目の前の悲劇にありすの思考は混乱していた。カワイイとありすを見つけて一緒にゆっくりしようとしただけなのに。 カワイイカワイイありすの赤ちゃん、一体なんでこんな事に?悲しみと怒りに駆られて意味を成さぬ叫びをあげ続ける。 一方のまりさはと言うと 「あかちゃん・・・ごめんね・・・」 「ダイジョブ?」 「うん、だいじょうぶだよ・・・先生ありがとうね・・・」 「目がビジネスマーン・・・歪みねぇな。」 一筋の涙を流したものの、赤ちゃんを殺した事実から目を背けずきちんと受け入れている。 人間でも中々できることではない、これには兄貴も思わず感嘆した。 「ではありすの去勢に移ります。」 助手の声に応じるよう兄貴は叫び狂うありすを掴むと、おもむろにケージから取り出した。 「ごろず!!ごろじでやる”う”ううぅぅぅ!!!」 「バー!!!ロー!!!」 暴れるありすをマウントで押さえ込んで一喝。 「お前のチンコとかどうでもいいわ!!」 パンパンパンパン・・・!!! 兄貴はありすの下腹部にスパンキングをはじめた。 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!や、やべぶ!!!」 「あぁん?エロいか!?卑猥か!?」 「ありずはえろでもひわいでもないいいぃぃぃ!!!」 抗議の声をあげるありすではあるが、リズミカルなスパンキングの刺激によりその体は昂ぶってゆく。 「あぁん?お客さん!!おっぱい見えるぜ!?変な乳して海老臭い!!」 「ゆあっ!!ありすは!!ありすはえびぐざぐないいぃぃぃ!!!」 抵抗するもその顔は真っ赤に染まり、目もトロンととろけている。 兄貴の超絶テクと言葉責めにより、ついにはありすのぺにぺにが頭をだした。その瞬間 「ふぐりっっ!!!」 「あっーーー!!!」 素早くそれを鷲づかみにし、力の限りもぎ取ったではないか!!! あまりの激痛に声も詰まるありす、その光景に周囲のものは『おお、激しい』と口にした。 だがこれで終わらない!兄貴はそのまま、まむまむへと手を突っ込む。 「ゲイバーーーーー!!!!!」 「うぎゅうぅぁああぁあぁ!!!??」 ゆっくりのそれに比べ、あまりにも大きい人間の拳を急につっこまれたありすは口の端から泡を吹きだす。 「最後の仕上げだ!! ぱっちゅりー、うっ!!!」 「!!!!!!!!!!!!」 そう叫んで兄貴がカスタードを引きずり出すと、ついにはありすは白目を剥いて気を失った。 「ありがとうございました。」 「じゃあの、ヤス。」 頭を下げる男に手を振り見送る兄貴。 こうして今日の仕事は終わった。だが兄貴の戦いは終わらない。 これからも救いを求めるゆっくりがいる限り、日夜兄貴達は医療と言うリングにあがる。 そんな彼らを人は『森の妖精』と呼ぶ。 「晩御飯なに?」 「くりぃむしちゅー池田。」 「いや別に好きじゃないよ!?」 シチューは飽きた、蟹が食べたい、むしろ蟹になりたい。 賑やかな声が、今日も森に響いていた。 終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/608.html
前 ――ゆっくり研究家○○さんの講演の準備が終了いたしました。 ――場内は大変込み合っておりますので、お早めに席にお戻り下さい。 館内アナウンスが流れ出すと、パラパラと席に戻る人が増えてきて、開始時間の四半刻後を待たずに全席が埋まった。 次はどんな研究の成果が見られるのか……観客の心は、その一点に集約されている。 緊張感と熱気に包まれた中、研究家が時間通りにゆっくりと現れた。 ――大変お待たせいたしました。これより、ゆっくり研究家○○さんの講演を再開させていただきます。 ゆっくり研究家が演壇に立つと共に、アナウンスが流れる。 講演会第二部は、異様なまでの静けさの中で始まった。 『ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話 その2:食欲編』 「先ほどは、睡眠を全く取らせないゆっくりを、映像を使って説明させていただきました」 「次は、食欲の抑制をしたゆっくりを見ていただきます」 「ゆっくり以外の生物……例えば犬や猫、魚でも良いですが、仮に睡眠と性欲をなくしたとしても、食事を取らなければ生命活動を続けられません」 「ただ、ゆっくりに関しては例外です」 「極めて食欲旺盛な事から、一見ゆっくりする以上に食欲を優先すると考えられているゆっくりですが、実は食事を与えなくても生き続ける事は可能なのです」 「これについては、説明するより見てもらった方が分かりやすいでしょう。ここからは、映像で説明させていただきます」 食事をしないゆっくりについて簡単に紹介を終えた研究家は、先ほどの様に映像を映し出した。 一匹のゆっくりまりさが、ぽつんと白い部屋の中でたたずんでいる。 血色は良く、皮はもちもちと柔らかそうなのに、精神的にひどく疲れている様に見えた。 当然の事だ。このゆっくりは、もう一ヶ月も食事を摂っていないのである。 日に一度アンコを入れられ、皮が破れたり薄くならない様に手入れをされているだけで、全く何も口に入れられない生活を送らされている。 確かに生きてはいるし、とても健康だが、ゆっくりも生物である。ものを食べられない苦しみは、他の動物と全く変わらなかった。 「ひょははふひはひょ(お腹空いたよ)……ひゅっふひへひはいひょ(ゆっくり出来ないよ)……」 まりさがしゃべる度に、声と同時に空気が漏れる様な音が口から出てくる。 このゆっくりまりさの口内には、歯が全く生えていないどころか、その痕跡すらなかった。 生まれつき歯がない、奇形のゆっくりである。 「ほはーひゃん(おかあさん)……ほほひひひゅひょ?(どこにいるの)……ひゅっふひひはい(ゆっくりしたい)……」 奇形まりさは寂しさからぼろぼろと涙をこぼすが、優しく頬を舐めてくれる母はここにはいない。 いや、母だけではなく、ご飯を食べさせてくれた優しい姉も、ちょっと意地悪で可愛い妹も、誰もいなかった。 全てと引き離され、今は白い部屋の中で一人、ただ生かされている現状。 奇形まりさは、この一ヶ月全くゆっくりできない日々を送っていた。 「ひゅっふひひはい(ゆっくりしたい)……ほはーひゃん、ほはーひゃん(おかあさん、おかあさん)……」 音のない部屋に、まりさの泣き声だけが響いていた。 「ひゅっ!?」 不意に、奇形まりさの耳に、どんどんと凄まじい音が聞こえてきた。 目の下に、乾いた涙の跡がある。泣き疲れてそのまま眠っていたらしい。 「ひゃひ(なに)!? ひゅっふひひへひょ(ゆっくりしてよ)!」 奇形まりさが何か言うが、気にせずにどんどんという音が近づいてくる。 音の向こうから何かの気配を感じる。恐ろしくてたまらなかった。 「ひゅっふひひへへへ(ゆっくりしててね)! ひゅっふひほっはひっへへ(ゆっくりどっかいってね)!」 そろそろ逃げなければ危ないかもしれない。 それが分かっていながら、奇形まりさはそこから一歩も動かず、ただ音に向かって声を張り上げる。 ――どうせ、これから逃げ切っても同じ生活が待っている。なら、いっその事楽になりたい。 どこかに行ってくれるなら良い。だが、そのまま襲われても楽になれる……その思いから、奇形まりさはその場から動こうとはしなかった。 ぼごんと音がして、壁が大きくひびわれる。 何を言っているのかわからないまりさなど気にしなかったのか、あるいは最初から侵入するつもりだったのか……。 いずれにせよ、奇形まりさはすでに覚悟を決めていた。 「ひゅ……ひゅっふひひゃふひひへへ(ゆっくり楽にしてね)……」 静まり返った部屋の中、息が漏れているだけにも聞こえる小さい声を出して、奇形まりさは黙り込んだ。 何度体当たりしても決して崩れなかった壁が、轟音を立てて崩れ去る。 その向こうから、先端が僅かに削れた黒い帽子がちらりと顔をのぞかせた。 ――あぁ、あれはおかあさんの帽子だ。 ――私に少しでもエサが取れる様になって欲しいって、何度も練習させてくれた帽子の先っぽが削れてる。 「うんしょ、うんしょ……ゆっくりー!」 目の前の光景が信じられず、呆然とする奇形まりさ。 その耳に、懐かしい家族の声が聞こえてくる。 「ゆっくりたすけにきたよ!」 「おねーちゃんだいじょうぶ?」 「みんなでゆっくりちようね!」 お姉ちゃんに妹達。 普通なら数日に一匹は死んでいるというのに、一ヶ月という長い時間が経っても誰一人減ってはいない。 ――夢でも見ているんじゃないだろうか。 目をしばたかせるが、誰も消えていない。まぎれもなく、愛する家族が自分を助けに来てくれていたのだ。 奇形まりさの目が潤み、みるみる涙が溢れ出してくる。 先ほどまでの悲しみのそれではなく、嬉しさによるものがゆっくり流れ出した。 「……ほはーはん(おかあさん)! ひんは(みんな)!!! ひっひょひひゅっひゅひひひょうへ(一緒にゆっくりしようね)!」 この部屋に入れられてから、いくら望んでも手に入らなかった光景がここにある。 あれほど望んだ母が、愛する家族が今ここにいてくれる。 奇形ゆっくりまりさは、皆の下に飛び跳ねていった。 ぺちゃんぺちゃんと、柔らかい音が断続的に聞こえる。 「ひゅははははははははははははは、ひんはぁ、ひゅっふひひひょうへぇぇ(みんな、ゆっくりしようね)」 奇形まりさは、何もない壁や空間に向かって体当たりを続けていた。 「ほはーひゃん、ひゅっふひほはんはへはへへへぇ(おかーさん、ゆっくりご飯食べさせてね)、ひゅははははははははは」 一転、壁に向かって親愛の情を示す様にすりすりと頬を擦り付ける。 「ひんはぁ、ひゅっふひはほほーへぇぇ(みんな、ゆっくり遊ぼうね)」 周りに誰かいる様に、本当に嬉しそうな笑顔で話しかける。 いもしない誰か達と、楽しそうに歌ったり遊んだり、時にはゆっくりしたり……そして、白い部屋に哄笑が響き渡った。 奇形まりさは、狂気に身を任す事で、ようやくゆっくりする事が出来たのである。 映像は、奇形まりさが「ひゅっふひひへひっへへ!」とわけが分からない事を叫んだ所で止まった。 「この歯のない奇形ゆっくりまりさは、今も狂気に浸ったままこの白い部屋にいます」 再び映像が始まり、先ほどの奇形まりさがいた白い部屋が映し出される。 そこでは、まりさがとても楽しそうに虚空に向かって歌を歌っていた。 「ひゅ~、ひゅうひゅ~♪ ひゅひゅひゅ~♪」 先ほどと同じく、もちもちと柔らかそうな皮は変わっていないがやはり行動は異様である。 それでも、家族に向かってひゅうひゅうと歌っている様な仕草は、とても幸せそうに見えた。 「私がこのまりさを見つけた時、奇形のために家族に捨てられそうになっていました」 「姉妹ゆっくりどころか、親ゆっくりからさえいじめられ、酷い有様でした」 「余談ですが、このゆっくりの家族の一匹が先ほどの睡眠欲の抑制に成功したゆっくりまりさです」 そーなのかーとどこかから聞こえてくる声を無視して、研究家は説明を続ける。 「……実の家族からも見捨てられた奇形まりさですが、この食欲の抑制実験に際しては本当に役に立ってくれました」 「最初に申し上げましたが、この奇形まりさはまだ生きて白い部屋にいます」 「つまり、ゆっくりは食事を摂らなくても、一定の中身さえ維持する事が出来ていれば永久に生き続ける事が可能なのです」 「さて、次はもう一つの成功例をご覧になっていただきます。今回は歯もあり、音も聞こえる普通のゆっくりを使用しました」 言葉を切り、何か合図をする研究家。合図に従い、ゆっくりと映像が始まっていった。 次は、どんな事になるのか……講演の間も、映像が流れている間も話し声一つ聞こえなかった会場内に、静かに興奮が満ちていく。 そんな興奮をよそに、一匹のゆっくりまりさが、きょろきょろと不安そうに辺りを見回している映像が流れ出した。 ゆっくりまりさは、困惑していた。 当然の事だ。 寝る前まで巣で家族と一緒にゆっくり眠っていたのに、今は全く別の場所にいるし、辺りを見回しても誰もいない。 そんな状況に置かれてしまえば、人間でも困惑するだろう。 「ゆっ……ゆっ……おかーさーん、おねーちゃーん、おちびちゃーん……みんな、ゆっくりどこいったのぉ?」 不安そうに周囲に問いかけるが、返事はない。 母も姉も妹も、気持ち悪い歯なし……奇形で歯のないゆっくりまりさを、このまりさはそう呼んでいる……すらもいない。 その後も何度か飛び跳ねて呼びかけるが、何の答えもないため、ゆっくりまりさはとうとう泣き出した。 「みんなどごにいるのおおおぉぉぉ! ざびじいよぉ! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 反射音がわんわんと耳をつんざくのも気にせず、ゆっくりまりさはしばらく泣き続けた。 「ゆっく……みんなをさがすよ!」 しばらく泣き続けたゆっくりまりさは、誰もいない事を悟り、とにかく誰かを見つけようと動き出した……が、すぐに止まる。 「そのまえに、おいしいものたべるよ!」 腹が減っては戦が出来ぬとばかりに、辺りに食物がないか探し出すゆっくりまりさ。 「ゆっゆ~♪ むしさんくささんでておいで~♪ あまぁいいちごさんはでざーとだよ~♪」 即席の下手な歌を歌いながら、楽しそうに食物を探し続ける。 「どうじでぇ!? どうじでごはんがないのぉ!?」 半刻ばかり経っただろうか。どれだけ探し続けても何もない事に、愕然とするゆっくりまりさ。 辺りを再び見渡す。 「ゆぐぅっ!? なにここおぉぉぉ!!!」 そこは、食べられるものどころか、土も岩も風もない、無機質な部屋だった。 誰もいるわけがない。隠れられる場所がないのだから。 また、何も食べるものもない。何もないガランとした部屋なのだから。 ゆっくりまりさは恐慌をきたした。 「だずげでぇぇぇ!!! だれがだずげでぇぇぇ!!!」 叫びながら壁に体当たりを仕掛けるが、饅頭の柔らかい体では、ぺちぺちと音を立てるのが精一杯。 それでも、何度も何度も体当たりをする。 ここはいやだ、ゆっくりできないし、しあわせにもなれない。その思いから、ゆっくりまりさは必死に壁に体当たりを続けた。 「ゆぅ……おなか、すいたよ……」 ぺちんぺちんと、柔らかいものがぶつかる音が止まった。 何度も何度も壁にぶつかり続けたせいで、ゆっくりまりさは疲労の極地にいた。 もう、僅かにも動く事すらできない。ただ、死を待つばかりである。 「だれか……たべもの……なんでもいいから……」 あえぐ様に、いない誰かに救いを求めるが、答えはない。幻聴すら聞こえない。 ゆっくりまりさの心は、絶望に包み込まれた。 「もっと、ゆっくり、したかった……よ」 呟いて、そのまま動かなくなる。 皆と再会できないまま、ゆっくりまりさは静かに眠りに付いた。 「ゆー……ゆっ?」 がば、と跳ねるゆっくりまりさ。 先ほどとは違い、体中にアンコが満ちている様な元気を取り戻していた。 「ゆっ! これならかべもこわせるよ!」 饅頭が何度ぶつかっても壊れる壁ではないが、まりさは自信満々に頷き、何度も壁に体を叩き付けた。 ぺちんぺちんと音が響く。 何度も何度も、諦めず続けているその姿は、風車に挑むドン・キホーテの様だった。 「ゆっ……おなかすいたよ……」 ぺちん、ぺちん……ぺちん。 饅頭が壁にぶつかる音が断続的になり、やがて止まる。 そしてまた、まりさは眠りについた。今度は、助けを求める事はなかった。 「ゆっ!? またげんきになってるよ! なんで?」 不思議そうに起き上がるまりさ。その体は、アンコに満ち溢れていて、つやつやとしていた。 「よくわからないけど、げんきになったからここからでるよ!」 明らかに異常だというのに、気付かないのはゆっくりだからだろうか。 その後も、まりさは壁にぶつかり続け、疲れ果てて眠るたびにまた復活し、壁にぶつかり続けるという行動を延々ととり続けた。 どれだけの時間が経ったろうか。 またぞろ復活し、壁にぶつかろうとしていたゆっくりまりさの後ろ側で、ガタンと音がした。 「ゆっ!?」 何事かと振り向くまりさ。 見ると、手に何か器らしきものを持った人間が立っていた。 ――ニンゲンだ! ゆっくりできない! 人間は危険なものだと、誰かから教えられたのだろうか。 まりさは壁に張り付くほど後ろに下がり、警戒の色を隠そうともせず膨らんで威嚇した。 「だれ!? ここはまりさのゆっくりプレイスだよ! じゃましないでね!」 あれだけ出たいと思っていた場所をゆっくりプレイスだと言う。 この忘れやすく楽観的な性格が、饅頭でしかないゆっくりの生き延びる秘訣とでも言えるのだろうか。 「……」 「ゆっ! こっちこないでね!!!」 威嚇されても何も気にする必要はない人間は、無言で近づいてきた。 ゆっくりまりさは、恐怖で縮みそうな体を必死で膨らませつつ、虚勢を張る。 後一歩踏み出せば攻撃されるという場所まで来て、不意に人間は止まり、手に持った物を置いた。 「食べろ」 「……ゆぅ?」 不思議そうにするゆっくりまりさの事は、もう関係ないと言わんばかりに、そのまま去っていく人間。 「……ゆ、ごはん? ゆっくりたべられるの?」 そろそろと近づき、器の中身を覗く。 ゆっくりまりさには分からないが、人間も食べられる食料がたっぷりとあった。 「ゆっ! ごはんごはん! ゆっくりたべるよ!」 先ほどまでの慎重さなどどこかに消え去ったとばかりに、ごはんに貪りつくゆっくりまりさ。 「むーしゃ、むーしゃ……ぶふぇぇ!!! な”に”ごれ”ぇぇぇ!!!」 まずは一番近くにある何かと思い、口にした瞬間吐き出してしまう。 毒かとも思うが、何か違う。毒はこんなに美味しくない。 その思いから、何度も食べようとしては吐き出す事を繰り返すゆっくりまりさ。 あまりに何度も食べようとしてえづくゆっくりまりさを、人間は興味深そうに眺めた。 「ゲェ、エ゛ホッ! ……お”じざん! ごれ”だべら”れ”な”い”よ”!」 何度も何度も食べようとしては吐き出し、これは食べられないものだと判断したらしいゆっくりまりさは、とうとう人間に食って掛かった。 人間は「そうか」とだけ残して部屋から去っていく。 「はやくたべられるものもってきてね! はやくしてね!」 先ほどとは違い、怒りの感情から膨らむゆっくりまりさの頭から、人間が危険な存在だという知識はすっぽりと抜け落ちてしまったらしい。 はやくはやくとねだるその姿は、ふてぶてしい普通のゆっくりまりさそのものだった。 「おそいよ! はやくごはんたべさせてね!」 数分後、別の器を持って現れた人間に対し、ゆっくりまりさは待ちくたびれたとばかりに何度も体当たりをした。 だが、そんなまりさの抗議を人間は涼しい顔で受け流しつつ、器からエサを一欠け取り出し、口に入れた。 食べられる、という証拠を見せ付ける様に、もぐもぐと口を動かし、飲み下す。 それを見たゆっくりまりさは「ゆっくりいただきます!」と叫び、そのまま器に飛びついた。 「むーしゃ……ぼふぅぅぅ! ゆぐっ!?」 また吐き出してしまった。味は美味しいのに、食べられない。 だが、人間が食べているのだから食べられるはずだ。 その思いから、ゆっくりまりさは何度も食べようと試みた。 「エ゛ホッ、エ゛ホッ……ヴォエ゛エ゛エ゛ェェェ……どう”じでだべら”れ”な”い”の”お”お”お”ぉぉぉ!!!」 食べようとしては吐き戻す。 その行為を何度も繰り返し、まりさはどうしても食べられない事にパニックを起こした。 「お”い”じい”の”に”ぃぃぃ! じあ”わ”ぜに”な”れ”な”い”よ”ぉぉぉ!!!」 食べようとする、吐き戻す。 食べようとする、吐き戻す。 あまりにも何度も吐き戻したせいで、食べているというのに逆にやせ細ってしまっている。 それでもゆっくりまりさは、すでに吐しゃ物の方が多くなっている器に、必死に喰らい付いていった。 不意に、人間がゆっくりまりさを持ち上げた。 「じゃま”じな”い”でぇぇぇ! ごはんだべる”の”ぉぉぉ!!!」 じたばたと暴れるゆっくりまりさの、耳と思われる部分に口を近づけ、人間は一言囁いた。 「お前、もうご飯食べられない体になってるぞ」 その言葉を聞いた途端、ゆっくりまりさは驚愕の表情で固まった。 ――ごはんがたべられない? なにいってるのこのおじさん? ばかなの? ゆっくり特有のふざけた事を考えつつ、ゆっくりまりさは下を眺めた。 そこには、アンコの吐しゃ物にまみれた器がある。 中のごちそうは千切れたりもしているが、全体の容量としては減ってはいない。 ただ引き千切って、アンコをかけただけにすら見える。 ゆっくりまりさは、アンコまみれのそれを見ながら、今さっきの事を思い出していた。 これを食べている時、いや、食べようとした時に、飲み込んでいたか。 もうごはんたべられない……まりさのアンコに、ゆっくりとその言葉が染みこんでくる。 まりさはわなわなと震えだした。 「ゆ……ゆ……ゆっぐりぃぃぃ!!!」 そんなまりさを冷たい目で眺めながら、男はまた囁いた。 「そんなにショックを受ける事はないだろう……お前は、もう食事をしなくても生きられるんだぞ?」 「なにいっでるのおじざん! ごはんだべなぎゃじんじゃうよ! ばがなのぉ!?」 顔中を涙とよだれと謎の液体でぐしゃぐしゃにしながら叫ぶゆっくりまりさ。 食事を摂らなくては死んでしまう。 生物にとっては当たり前、常識以前の問題である。だが、ゆっくりは常識の通じる生物ではない。 「じゃあ、お前は何で今生きている?」 「ざっぎまでごはんだべでだがらだよぉぉぉ! いやぁぁぁ……じにだぐないぃぃぃ!!!」 男はため息をつき、混乱しているゆっくりまりさをその場に放り出した。 「ゆぎゅ!? ぐ……ぐ、ちゃんとしたごはんよごぜぇぇぇぇぇ!!!」 即座に男に飛び掛ってくるゆっくりまりさを片手で押さえつけ、虚空に向かって何か合図をする人間。 壁の一部にパッと光が差し、まりさにとって信じがたい映像が映し出される。 眠ったゆっくりまりさの下に、人間たちがやってくる。 その人間達は、ゆっくりまりさの帽子を取り、そのまま何かの機械を差し込んでアンコを注入する。 注入し終えたら機械を抜き、機械の入っていた部分を含め、表面の傷ついた所に練った小麦粉を貼り付ける。 触ってみて、問題ないと思えるまで回復した所で、人間達は部屋を後にする……。 ゆっくりまりさは、その映像をただ黙って見ていた。 「ほら、これならお前は死なないだろう?」 人間が何か言っているが、ゆっくりまりさの耳には届かない。 あまりの光景に言葉を失ったらしく、がくがくと震え出した。 「なに、これ……おじさん、まりさになにしたの……」 問いかけるゆっくりまりさに、初めて笑顔を向け、人間は答えた。 「お前が食事をしなくても死なない様にしてやったのさ」 嬉しいだろ? などと問いかけながら、人間はゆっくりまりさのほほをなでた。まりさのほほがつぶれない様にと、慎重で優しいなで方。 だが、まりさにはそれすら禍々しいものに思えて、悲鳴を上げた。 映像は、ゆっくりまりさが絶叫をあげた所で止まった。 「このゆっくりは、現在も正気を保ったまま生きています」 再び映像が流れる。 そこには、必死の形相で壁に体当たりを続けるゆっくりまりさがいた。 「いやだ、ここはゆっくりできない、ここをでたらごはんたべられるよ、はやくはやく……」 ここから出られたらゆっくり出来る、食事が摂れる……どちらももう叶わない事だが、ゆっくりまりさの頭にはそれしかなかった。 その姿は狂気とも思えるが、ゆっくりまりさの目には知性がある。 「はやくはやく……ゆ、つかれた……ゆっくりやすむよ」 疲れたらしく、ゆっくりまりさは一旦休んだ。 だが、眠る事はしない。 眠ってしまえば、またあんな事をされてしまう……ゆっくりまりさは、絶対に眠りたくはなかった。 映像は、ゆっくりまりさがギリギリのところで眠りを堪えている所で止まった。 「このゆっくりまりさは、元々別の実験に使用しておりましたが、今回の『食欲』実験にも使えると思い、現に成功を果たしました」 「また、このゆっくりは睡眠も克服しています。あの映像を見せた恐怖からでしょうか、全く眠ろうとしません」 「睡眠欲と食欲を克服したゆっくりまりさ……それが、このゆっくりなのです」 「それでは、次の映像の準備などのため、これから四半刻の休憩を挟ませていただきます。少々お待ち下さい」 判を押した様に先ほどと全く同じ事を言い、一礼をする研究家。 そのまま脇に下がると同時に、館内放送が響き渡る。 ――これより、四半刻の休憩を挟ませていただきます。 ――休憩中の出入りは自由となっております。厠などを済ませて下さい。 館内放送が流れても、人々はほとんど動かなかった。 先ほどの映像について、周りの者と様々に意見を交わし合う。 次の説明まで四半刻、会場の熱気はまだまだ収まりそうにない。 研究家は、それを脇から眺めながら、満足そうに頷いていた。 虐待スレ何人かのファンの期待に答えまして、第二回講演を書き上げました。 予定では後二回ですが……ちょっと苦しくなってきたかも。 とりあえず、最後までの構想は固まっているので、お付き合いいただけると幸いです。 by319 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4337.html
(前編より) いうまでも無くこの思い出された記憶も大きくまりさの脳内補完によって捏造されている。 全てまりさの都合のいいように捻じ曲げられた記憶。 しかしこの最後の防壁とも言える補完されたまりさの記憶は ついさっきお兄さんが行った数々の非道によって本来の正しい記憶にゆっくりと戻されていく・・・ ゆっくりと記憶をいい方へいい方へと捻じ曲げていたまりさの餡子脳にもようやくひとつの真実の結論が導きだされた。 「も、もももしかしてお野菜さんはかってに生えてきたんじゃなくて」 「そうだ、あれは俺が汗水垂らしてあそこまで育てたんだ。今年はひもじい冬になりそうだよ」 「あのとってもゆっくりしたゆっくりプレイスは」 「そうだ、あれは俺が汗水垂らして建てた大事なものだ。お前らも穴を掘るのは大変だっただろう?」 「あのれいむは」 「そうだ、お前らがすっきりして殺したれいむは親父が縁日の屋台で買ってくれた大事な家族だ。お前らでいうところのおちびちゃんだ」 「ありすは」 「そうだ、必死にお前に助けを求めていたのにお前は「まりさはにげるよ、ありすはゆっくりしんでね!」とか言って ゲラゲラ笑ってたな、れいむの手当てもあって追わなかったがお前は俺の家から徒歩五分の所に住んでたからすぐ見つかったぞ」 「まりさのれいむは」 「そうだ、隣の巣に住んでるぱちゅりーが「ゲスのありすにおそわれて命からがら逃げてきたまりさをゆっくりさせてね!」 とか言って強引に住み込みはじめたのを見たって言ってたぞ」 「ゆ゛っ・・・ゆ・・・ゆわわ・・・ゆわわ・・・ゆ゛わ゛わ゛!!!」 まりさとありすは群れのゆっくりに歓声で送られて下りていった人間の里で 捨てられたゆっくりプレイスを発見し、そこでゆっくりしていたら 巣を横取りしようと襲い掛かってきたゲスれいむをこらしめたのではない。 群れの仲間が止めるのも聞かず、人間の里に下り、お兄さんのゆっくりプレイスを横取りしようとして それを親切に止めようとしてくれたお兄さんのおちびちゃんであるれいむを嬲り殺しにしただけだった。 そして帰ってきたお兄さんにありすを一瞬にして殺され、しーしーを漏らしながら必死こいて逃げ帰ってきたのだ。 更に群の一人身のれいむの家に転がり込み、無理やりすっきりして追い出されないようにした。 とんでもないことをしてしまった。 まりさの行った行為の数々は温厚で争いを好まないこの群れですらゆっくり裁判で極刑にされてもおかしくないものである。 それをまりさはゆっくりではなく圧倒的に力の差がある人間にしてしまったのだ。 非は完全にこちら側にある。言い訳はできない。まりさは事の重大さに振るえガチガチと歯を鳴らしている。 「あっあばばばっ!ばばばっばばば!・・・ゆっ!ゆゆっくりり!ゆくり!ゆくり!」 言葉にならない言葉を発し取り乱すまりさ、それ見て人間はため息をつき 「ようやく思い出したか、なにか言い残すことはあるか?」 淡々としかし冷たく言い放った。 辛い狩りから帰ってくるなり巣を取られ、食料を荒らされ、かわいいおちびちゃんたちを殺された。 辛く、悔しく、許せないことだった。しかしそれと同じ事を目の前の人間にやってしまったのだ。 相手が同じゆっくりならば優れたまりさは返り討ちにすることも逃げることもできたであろう。 しかし相手は全ての能力においてゆっくりを凌駕している人間。取り返しがつかない。 この状況を打破できる方法が思いつかない。・・・いや、違う。そういうことではない。 「ま、まりさは・・・まりさは・・・」 れいむと過ごした一週間でまりさは変わっていた。否、容易く変わってしまったのである。 三歩進めば忘れるゆっくりの餡子脳である。まりさの心は一週間前とは違い、先ほど転がっていったれいむのように善良なものになっていた。 「ごっ!ごべんね゛ええええええええええええええ!」 ボロボロと涙を流し、言い訳も命ごいもせずまりさは精一杯の謝罪の言葉を叫んだ。 「ま゛り゛ざは!むれで!いちばんだっだがら!ぞれでっ!でも!それはちがうくて!まちがってで!ごべんなざい!ごべんなざい!」 自分は間違いなくここで人間さんに復讐されて命を落とすだろう。 それはいい、別にかまわない、そうなっても文句を言えない程の事をしてしまった。 でもその前に人間さんにゆっくりと謝りたかった。まりさの頭の中はそれだけで満たされていた。自分のしてしまった色々な誤った行い そのひとつひとつを挙げて謝罪したかった。しかしゆっくりとした餡子脳ではそれができずにただ、ごめんなさいの単語しか浮かばなかった。 涙と汗と変な液体を垂れ流し、顔をしわくちゃに歪ませながら謝罪の言葉を連呼するまりさを見つめる人間。 その表情は先ほどからの険しいものから、外で遊ぶ子供や日向ぼっこを楽しむ猫を見つめるような優しい表情に変化していった。 「反省したかい?自分がいけないことをしたってゆっくり理解できた?」 「ゆっぐり!りかいじまじだ!ごべんなざい!ごべんなざい!」 まだ殺さないでくれ、殺す前にちゃんと謝らせてほしい。まりさはそう思って餡子脳をフル回転させ謝罪の言葉を連呼している。 「その言葉が聞きたかった」 人間はまりさを優しく抱き上げ自分の目の前にその顔を持っていった。 「ごべっ・・・!ゆっ・・・ゆゆっ!」 ふと持ち上げられ目の前に映った人間の顔はとてもとてもゆっくりしていた。それはまりさが小さいころまだ赤ゆっくりだったとき ぺろぺろしてくれて、すりすりしてくれて、その帽子でたかいたかいをしてくれて、お歌をうたってくれた親まりさの顔だった。 お兄さんはれいむが死ぬ間際に言っていた事をまりさに伝えた。 あの野良まりさを許してあげてほしい。れいむはゆっくりと人間さんが仲良く過ごせるように色々な事を教えてくれる家で生まれた。 そこで小さいころから躾けられてやってはいけないことを教え込まれた。 苦労して苦労してやっとそのやってはいけない事を覚えた。 きっと野良のまりさはやってしまったことを悪いことだと教えられていない。 人間の里で生きていくには大事な事だけど山で生き抜く分には必要の無い事ばかり、まりさは悪くない。 「だからまりさを許してあげてね・・・ってね」 「ごっ!ごべんなじゃ・・・っ」 目をぎゅっと閉じてまた謝罪の言葉を叫ぼうとするまりさの唇を人間は優しく人差し指で抑えた。 「あの家は親父と一緒に死に物狂いで働いて稼いだ金で建てたんだ。 そしてその親父が居なくなって、独りになってしまって辛くて悲しくてどうしようもない時に れいむは俺と一緒に居てくれたんだ。「ゆっくりしていってね!」の一言で俺はとてもゆっくりすることができたんだ。」 まりさは転がっていったれいむと過ごした一週間を思い出していた。 始めは行くあても無いので、冬を越すまでは一緒に居ようと思っていた。 しかし一緒に野をかけまわり、ゆっくりした雲を眺め、歌を歌い、木の木陰ですりすりをし 子を授かってからはこれから始まるゆっくりと輝かしい未来を語りあった。 そうしている内にまりさの心境に変化が現れた。 自発的に冬篭りの為の餌集めを行い、突然の雨に驚き、捕食者に怯え、ちっぽけな自分を痛感した。 そして疲れ切って巣穴に帰った時、れいむの「ゆっくりしていってね!」が心に染みた。 まりさのゆん生の中でこれほどゆっくりした時間は無かった。 たった一週間だったが、まりさは生まれてからずっとここでゆっくりしていたと思い込んでしまった。 「俺を殺そうとして襲い掛かってきたり、また番を残して逃げようとしたりしたらすぐさまお前を殺してやろうと思ってた。 でもお前は違った。ちゃんと自分のやった事を理解して俺に謝った。だから・・・ 「俺はお前を許すよ」 まりさは涙を流した。涙はさっきから止め処なく流れていたが人間の言葉を聞いて流れたそれは今ままでの涙とは違うものだった。 思えばまりさは口では「ゆっくりゆっくり」と言っていたが、その実ゆっくりしたことはなかったかもしれない。 まりさは自分だけがゆっくりしたかっただけだった。「ゆっくりしていってね!」ではなく「ゆっくりさせろ!」だった。 しかし今ならきっと本当の「ゆっくりしていってね!」ができる。そう思った。感極まったまりさは思わずそれを口にした 「お兄さん!ゆっくりしてい「じゃあこれからお前を殺す準備をするからちょっと待っててね」ゆ、ゆゆっ!?」 まりさは人間が言った言葉を理解できなかった。きっと聞き間違いであろう。 まさか「これからお前を殺す」なんて言うはずがない。話の流れから言ってもそれはありえない。 「ゆっ!お、お兄さん!今なんて言ったの?まりさはちょっとよく聞こえなかったよ!」 「ゆっくりお前を殺す準備をするから待っててね!って言ったんだよ」 この人間さんは一体何を言ってるのだろうか?まりさはゆっくりと反省したのである。殺される理由が無い。 「ま、まりさはゆっくり反省したよ?それに人間さんはさっきまりさを許してくれるっていったよ?言ったでしょう??」 まりさに間違いは無い、人間さんには悪いがそれはさすがに訂正してもらわねばならない。 しかし次の人間の言葉にまりさは驚愕する。 「許したけどな、それでお前の罪が無くなったわけじゃない。わかるか? 俺はお前をもう恨んでいない、でもやったことの罰はうけなきゃいけないんだ」 大きな鞄からは「尖った何か」「堅そうな透明な何か」が出てきた。 何だろう?これは?とにかくとてもゆっくりできなそうな品々である。 「お前らにもわかるように言うとお前は群の皆で集めた食料を勝手に食べた。 家族はそれを許した。でも群を収めるドスは許してくれてないって事だよ」 「わ゛がらな゛い゛よ゛おおおお!!ぞのひどにもあやばるがら!まりざをぞこへづれでっで!!」 「えっ、この村にドスいるの!?」 「い゛な゛い゛よ゛おおおおお!」 「つまりはこういう事だよ、「それはそれ、これはこれ」って奴だよ。」 人間の言い分は複雑すぎてまりさには到底理解できない。 「やだっ!がえる゛!もうお゛う゛ち゛がえるううう!」 全てを悟った気になっていたまりさ、それは勘違いだった。あっという間に取り乱しありふれたテンプレートな言葉を叫びだす。 「おいおい、お前のお家はここでしょう」 「そこはお゛に゛い゛ざんのゆ゛っぐりブレイズでじょおおおお」 「お兄さんのゆっくりプレイスが木の根元の穴のわけないでしょう?それなんて修行僧?」 ゆがあゆがあ、と暴れるまりさを両足に挟んで固定してお兄さんはまりさの頭に「えいや」と針を突き刺した。 「ゆべぇ!」 それにビクンと反応させ体を振るわせるまりさ 「今打ったのは、ペットゆっくりの躾け用に使う 餡子がちょっと硬くなって歩けなくにゃるよ注射 を4箱分鍋でじっくりと煮詰めたものだよ」 「ゆぴぃ!ゆぴぴ!」 本来は数分間動きが鈍くなり飼い主に口答えをしたり、決められた場所以外でうんうんやしーしーをしてしまった場合に注射し、 悪い事をすると体がちょっと動かなくなるよ!ゆゆゆ!・・・ゆっくり気をつけるよ!と軽いお仕置きに使われるものである。 それを凝縮された注射はちょっとどころかガッチガチに体内の餡子を羊羹のように硬化させる程度の効果を持つ。 お兄さんの両足から逃れようとウネウネと波打っていたまりさの体の動きが次第に遅くなっていく。 「あがっががが!まりさのなかがおがじいよ!人間ざん゛!やべてね!ゆっぐりはんぜいじだま゛り゛ざをだずげでね゛!」 「助けないよ」 はじめからお兄さんはまりさを見逃す気は無かった。 れいむは大事な家族であった。 そう思っていた。しかしれいむが死ぬ間際に発した言葉にはお兄さんへ対しての事はひとつも無く ただただ、あのまりさを許してね!だけだった。 長年暮らしてきたお兄さんよりも同属の身を重んじたのだ。この思いは嫉妬であった。 そしてゆっくりごときに嫉妬している自分が惨めでたまらなかった。 そんなペットの忠告に素直にしたがう道理が無い。仮にれいむが一命を取り留めても同じようにまりさを殺そうとしたであろう。 先ほどの三文芝居はまりさをひと時安心させ、次の瞬間に奈落へ落とすその為の行為であった。 餡子が硬化し身動きひとつできなくなったまりさはコロンと地面を転がった。もはや両足で押さえつける必要もないだろう。 そのまままりさの頭を下にして逆さまの状態にする。なすすべなくお兄さんの前にむき出しになったまりさの可憐なあにゃる。 それにお兄さんは無造作に指を突っ込んだ。 「んほぉっ!やべちぇね!そこはまりさのとってもゆっくりした びんかんな ところだよ!ゆっくりゆびをぬいてね!」 言葉とは裏腹に顔を綻ばせ頬を赤らめながら自力ではほとんど動けないのにも関わらず自ら腰を動かし始めるまりさ 笑顔で涎とよくわからない液体を垂らしながら「やべちぇね!やべちぇね!」と嬉しそうに連呼するまりさをよそに 押し広げたあにゃるに一本また一本と指を突っ込み、右左全ての指を入れると・・・一気に押し広げた! 「んぽお゛お゛お゛お゛っ!?な゛に゛じでるのおお!?そ゛れなんてぷれいなのぉぉぉほお゛お゛お゛!?」 人間さんの我侭プレイにさっきまでのニコニコ顔も何処へやら、白目と歯を剥きだして今おかれている状況を思い出すまりさ。 ゆっくりの動物型出産時と同じ位に押し広げられたまりさの可憐なあにゃる。赤ゆっくりが産まれる高揚感無しでの激痛に顔が歪んだ。 押し広げられた皮の中には薬のせいで羊羹のように硬化した餡子が見える。それを確認したお兄さんはまりさの体勢を頭が上になるように戻し その上になった頭に自分の膝を乗せ体勢を整える。そして覆面レスラーからマスクを剥ぎ取るような感じで・・・ 「お゛っお゛でぃ・・・ざっ!やべで・・・・ぞんな゛ごどじだら・・・・・・ゆ゛っぐり゛いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 膝に体重を乗せて少しずつ皮を剥がしていく。 ブチッ!ブチブチブチッ!とまりさの中から音がする。その音に合わせてまりさが「ゆ゛っ!ゆ゛っ!」と声を上げる。 羊羹状になったまりさの中身と皮が分離して、徐々に外気に晒されていく。 まりさの食いしばった歯が砕けんばかりにギリギリと鳴っている。今まで過ごしてきたゆん生の中で経験したことの無い苦痛に身を躍らせるまりさ、 餡子が硬化してなければとっくに漏れ出して即死している・・・否、即死”できた”はずである。 まりさのあにゃるからどんどん姿を現すまりさの中身、これはまりさなのだろうか?それとも巨大なうんうんなのだろうか?どうでもいいや。 唇の皮がはがれ、ヒビが生え今にも砕けそうになっている歯と歯茎があらわになる。人によっては可愛く見えるらしい容姿の面影はもはや無い 「ま゛でぃざのぎれいなお゛がおがぁぁぁ・・・・い゛ま゛な゛ら゛ゆ゛るじであげるがらぁぁぁゆっぐりじないでやべでねぇぇぇ」 もはや被害者面のまりさの命乞いをよそに皮はまぶたまで剥がされた。 むき出しになった両目はギョロギョロと高速で色々な方向へ向き、その体のどこにそれだけの液体が詰まっているのか? と、考えさせられる程の涙と汗とよくわからない液体がボタボタと垂れている。 体はじっとりと噴出した体液でテカテカと日光を反射し、中身の餡子は時折まりさの痙攣にあわせてぶるん!ぶるん!と揺れる。 キモい、主に視界に入る光景がキモい。 もはや残すのはお兄さんの膝が乗っている頭皮の部分だけである。 体勢を変え左手の親指を餡子むき出しのまりさの左目の窪みに、人差し指と中指を右目の窪みに添える。 「左手は・・・添えるだけ」 「ひぃ!ひぎぃ!やべちぇね!やべちぇねぇぇぇええ!ごべんなざァァい!も゛う゛じま゛ぜん゛!もうじま・・・・せんこっ!」 右手で一気に頭皮を剥がした。ビッ!と布を切り裂くような音がして黒いプルプルした塊が再び地面にごろんと転がった。 急激に体温を失い冷たくなっていくまりさの皮、ヌルヌルとした感触、眉間にシワをよせお兄さんはその皮を無造作に地面に放り投げた。 「・・・・ゅ!?・・・・っ!!!!?」 主に全てが剥き出しのまりさ、風に吹かれただけで激痛が走るはずである。 背中に小石が突き刺さりその激痛に飛び上がるまりさ、着地した先でまた小石が刺さる。 転がっては飛び上がるを繰り返し、お兄さんの前を行ったり来たりしている。動き辛いのに頑張るものである。 もはや言葉を喋ることもできずに今までに見たことの無い早いテンポの痙攣をはじめた。 その姿にお兄さんは丸々太った蝿がガラス窓に気が付かずハイテンションで体をぶつけ続けている光景を思い出した。 そのハイテンションな蝿が目だけをギョロギョロウネウネと動かしお兄さんに何かを訴えかけている。 何を言いたいのかは容易に想像できる「ゆっくりしないで今すぐに殺してね」であろう。 「殺さないよ」 そういうとお兄さんはまりさを両手で掴み持ち上げた。まりさはむき出しの餡子を直接掴まれる激痛に身をよじった。 「ゆひぃ!ひぃひゅぅぅ!ぴみゅうううッ!」 そして用意してあった大きく透明なガラス製の花瓶の上にまりさを乗せた。尻の部分からゆっくりと花瓶に吸い込まれていくまりさ 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 痙攣するたびに体は花瓶の中に沈んでいく、一分もしないうちに花瓶にギッチギチに詰まるまりさ。 ガラスの皮は当然今までのように柔軟に変化しない上に常に体を締め付けられているようなものである。おまけに透明だから色々丸見えだ。 人間はポケットから本を取り出し文章を目で追っている。 「これで完成だな、俺が言うのも何だがひどい事を考えるやつが居たものだな」 そう呟くとお兄さんは本をポケットの中にしまった。 その本はゆっくりの虐待方法を古今東西津々浦々にまとめた「ゆ虐百景」お近くの書店、コンビニでお買い求めください。 そして水筒を取り出すと花瓶の中で苦悶の表情を浮かべているまりさにオレンジジュースを注いだ。 「ぶべっ・・・!ぶひゅう・・・!ゆぺぺっ!」 自分の新しい皮の中で溺れるまりさ、体を動かそうにも花瓶はびくともしない。 花瓶の中で溺死する寸前のところでオレンジジュースは餡子に吸収された。 「よぐもがわいいまりざをごんなべにぃぃぃ!もどぜ!!いまずぐもどにもどぜぇええええ!じじぃぃぃいいい!」 先ほどまで殺して欲しいと懇願していたのにも関わらずオレンジジュースで若干体力を取り戻した事もあり、 二度と閉じることのできなくなった両目を吊り上げてお兄さんを威嚇しながらわめき散らすまりさ 「ぷくぅ!」をしてるつもりなのか口をへの字に曲げている。ガラスの皮ではぷくぅなど当然できない。 そんな奇怪な花瓶には目もくれず、もはや誰からも存在を忘れられてしまったであろう風船赤れいむを手に取ると 口に貼ってあったガムテープを剥がす 「ぷひゅるるるるるるぅ~!ちゅっきりちたよ!ゆんゆん♪」 二秒前まで不細工な顔芸を晒していた赤れいむとは思えないかわいらしい笑みを浮かべて、 またしてもすぐさまゆっくりしだす赤れいむ。親の惨状を見ていた筈だが、 今は自分がゆっくりできたことでそんな事はすっかり忘れ、その残り少ないだろうゆん生を謳歌し始めた。 「ゆゆーん♪れいみゅはゆっくちおにゃかぎゃちゅいたよ!きゃわいいれいみゅにとっとと・・・・ぴみゅぅ!」 アホの赤れいむを鷲づかみにすると花瓶・・・もといまりさの元に人間は向かった 「お空を飛んでるみたいとか言ったらさっきの5倍膨らませるよ」 「ゆーん♪おちょらを・・・・ゆぴっ!?なじぇっ!?」 心を読まれた!?この人間さんは只者ではない!そう思いながら赤れいむは無言で涎としーしーを垂れ流した そして花瓶のまりさは人間が握っている赤れいむを発見し色めきたった。 「お゛っお゛ぢびぢゃん!ぶじだったんだね!べーろべろじであげるがらね゛えぇぇ!」 花瓶がガラスに舌を這わせながらそんなことを言っている。 こんな状況で口にする台詞ではない、天然なのか、現実逃避なのか? ゆっくり全員がそうなのか?こいつが抜きん出て馬鹿なのか?きっと全部正解なのだろう。 「ゆゆっ!おきゃーしゃんの きょえ が ききょえるよ!ゆぅゆぅ!きゃわいいれいみゅはきょきょにいるよ♪」 萎んだ風船がきゃっきゃっ♪と騒ぎ始めた。お兄さんの手から落ちたら赤れいむの体ではただでは済まないのだが そんな事に気を回す脳も無く、握られた手の隙間からにゅる!と身を乗り出し辺りを見回している。 目の前にある花瓶をじーっ!と見ていたが「あれはないだろ」と言った表情を浮かべ、ニュルニュルキョロキョロを再開した。 いや、あれで正解です。 「ごゆるりと」 そんな赤れいむを花瓶の中に落とす。 むき出しの餡子に赤れいむがめり込み「ゆっぐりい゛じゃい!」と叫ぶまりさだが そんな事に気がつかない赤れいむは着地した後もかわいさアピールのつもりなのか餡子の上で 「ちょまらにゃいよ♪ゆんゆん♪」と、ころころと転がり続けている。 「いばっ!ばっ!ばっ!だっ!やべでねおぢびじゃん!ごろごろやべでね!」 「おこえはききょえる けど どこにもいにゃいよ!きゃくれて れいみゅを おこらちぇないじぇね!ぴゅんぴゅん!」 等とクソかわいらしい台詞を赤れいむがほざき、先ほどのダメージのせいで空気を漏らしながら「ぷくぅ!」をして跳ねた。 「おかあさんはここにいるよ!ぶべっ!おちびじゃん!やべでね!ぞこでぽいんぽいんするのやべでね!」 声はすれど姿は見えず、キョロキョロと辺りを見回すもまりさの姿は見当たらない。 しかし「きゅんきゅん!」と鼻を鳴らすような仕草をすると「はっ!」と驚いたような顔をし、 赤れいむは足元の餡子がまりさであるということに気がついた。 「おきゃあしゃんだね!さいちょは わきゃら なかったけど きゃわいい れいみゅ には わかるよ!すーりすーり♪ むき出しの餡子にすりすりする赤れいむ 「ぎゃぼろえ!いじゃい!!ゆっぐぢやべでね!ゆっぐ!すぐやべろおおおおお!」 「ぴみゅう!にゃんで しょんなきょというにょ゛!れいみゅ きょんなに きゃわいいのに!あと おにゃきゃ ちゅいたぁぁぁ!・・・ゆゆん?」 徐々に体が餡子に沈んでいる事に気がつく赤れいむ。 「ゆゆっ!きゃらだ が ゆっくち ちじゅんでいくよ!」 むき出しの餡子は痛覚であり、胃袋でもある。先程のオレンジジュースの様に赤れいむを吸収しはじめた。 「おぢびじゃん!ゆ゛っぐりじでないでここがらにげでね!ごごはゆ゛っぐりできないよ!」 「みゅみゅん!ゆっくち りきゃいちたよ!ぽいーん!ぽいーん!」 いや、理解していない。 ピンポン玉のように花瓶の中を跳ね回りきゃっ♪きゃっ♪と楽しそうな声をあげる赤れいむ。 その都度まりさに激痛が走る。自分が死に直面している事に気が付かず楽しそうに弾む。そして・・・ 「みゅ♪」 そこまで迫っている自分の死には気がつかなかったが、その物体の甘さには貪欲に気が付いた。 痛覚であり、胃袋でもありそして甘味でもあるまりさの中身、その餡子を赤れいむは貪りはじめた。 「ゆっ!ぴみゅ~ん♪このぷるぷるさんとってもゆっくちでき・・・うめえッ!めっちゃうめぇッ!これッ!にゃにこれぇッ!」 「ゆ゛があああああ!だべるな゛ぁぁぁ!さっさとでろぉぉぉぉぉ!」 「なにいっちぇるにょ!れいみゅ とっても おにゃかがすいてたぃゃん だよ!ぴゅんぴゅん!」 「石でもぐっでろおおお!じね!そくざにじねねえええ!ゆっぐりできな゛い゛おばえはばりざの子じゃな゛い゛よ゛!!!」 早くも我慢の限界に達したまりさは体を振って意識を集中する。それに連動して餡子の吸収力が増した。ゆっくり脅威のメカニズムである。 「ゆぴぃ!ゆっきゅりしじゅむよ!いやじゃぁぁぁ!ゆっきゅりできゅにゃぁぁぁい!」 急に沈む速度があがった為、焦りだす赤れいむ、足元が沈んでしまいもはや飛び跳ねることはできない。 イヤイヤとぷるぷる体を揺さぶるものの徐々に沈んでいく赤れいむ、 やがて白目を剥いて痙攣しはじめる。正直「またか」という感想しかない。 「おきゃあしゃぁぁん!やべでね!ゆっくりたしゅけてね!もうたべにゃいきゃらね!れいみゅ はゆっくち はんちぇいしたょ!」 赤れいむの呼びかけに答えず不敵な笑みを浮かべるまりさ、さっきから痛みを与え続けてくる赤れいむとあっさり敵と見なしたようだった。 「お、おきゃぁしゃん!なられいみゅはあやまりゅよ!あやまりゅかりゃ すぐにやめちぇね!」 一部始終を見ていたお兄さんだったが、花瓶に手を突っ込むと沈みかけていた赤れいむをズルゥ!と取り出した。 「ゆげぇっ!じじいぃ!じゃま゛をずるな゛ぁぁぁ!」 人間は舌打ちした。予定では痛みに耐えながら「にげてね!にげてね!」と連呼するまりさをニヤニヤと眺めながら まりさが力尽きるまでそれを堪能し、まりさが死んだ後に赤れいむだけは助ける筈であった。 飼っていたれいむと同じ顔のゆっくりを殺す気など元から無かったからだ。 わざわざ親れいむだけこの場から遠ざけたのもその為であった。 口の中で汚した飾りも洗えば元通りになるし、他の赤ゆっくりもお兄さんのポケットの中で寝息を立てている。 ふと、手元を見るとついさっき膨らましたり、ガムテープを貼った事も忘れたのか、 助けられた赤れいむが目を輝かせながら人間を見ている。 「ゆゆーん♪おにぃしゃん♪たちゅけてくれてありぎゃとうね! でみょ ぐずぐず ちてにゃいで ちょの くじゅ をちゅぶちてにぇ! れいみゅ ぐじゅ は きらいに にゃるよ?」 さっき赤れいむにはまりさだという事はわかると言っていた。つまりわかっていて「親を殺せ」と言っているのだ。 まりさの子を子と思わない行動もあるが、何故こうまで簡単に豹変できるのだろうか? 赤れいむは餡子まみれの体をお兄さんの手のひらにこすりつけながら愛想を振りまいている。 その醜悪な内面を感じさせない屈託の無い笑顔に怖気が走る。 「しゅーり♪しゅーり♪とってぇもゆっくちできるでちょ? ゆっくちちたら きゃわいいれいみゅにあまあまをもってきちぇね! ちょうちたら れいみゅが とくべちゅ に おにぃしゃんのおちびちゃんになってあげゆよ! ゅぅ!おにいしゃん!きいちぇるの?れいみゅが おはなち ちてるときは こっちをみちぇね!ぴゅんぴ・・・・べっ!」 お兄さんは無言で手のひらを返し赤れいむを地面に落とした。 地面に落ちて一瞬平たく潰れ、ふにょん!と元に戻る赤れいむ。残念な事に大きな怪我は無かった。 「なにちてるの!ゆっきゅりあやまっちぇね!さっさとれいむをひろっちぇね!そしてはやくあのぐじゅをつぶちてね! はやくれいみゅをひろぇぇぇ!じじぃぃぃ!こっちみりょぉぉぉお!」 お兄さんの足にぽこんぽこんと体当たりをし始める赤れいむ 「いたいでちょ!やめちぇほしきゃったらちょっちょちょかわいいれいみゅをひろってにぇ! ぴみゅぅぅ!むちちにゃいでにぇ!じじぃ!こっち・・・・み゛っ!」 お兄さんは足を振り上げ無造作にその足を振り下ろした。 飼っていたれいむと同じ顔から吐き出される汚い言葉の数々が許せず無意識に足が動いた。 足は赤れいむの体の半分をとらえ押しつぶした。 足からはみ出した半分はじたじたと暴れながら何とか足から脱出しようともがいている。 お兄さんの足の裏にウネウネと動く赤れいむの感触が伝わってくる。ただただ不愉快で気持ちが悪い。 半分だけ潰して苦しめているわけではなかった。親を殺せと喚く醜い生物と視線を合わせたくなかったのだ。 先ほど親が苦しんでいるのにもかかわらず、遊び半分で飛び回っていた時とは明らかに様子が違う。 必死、ただただ必死である。目を血走らせ、歯をくいしばり、醜く体を震わせ、一心不乱に足からの脱出を試みている。 「い゛じゃい!い゛じゃぁぁい゛!ゆっくちあちをどけちぇね!れいみゅ きょんにゃに きゃわいいにょに!いじめにゃいでにぇ! いいきゃげんに ちないと れいみゅ おきょるよ!あじをどげろぉぉぉぉ!じじ・・・・・」 お兄さんは何度も足を振り下ろした。 「い゛っ!じゃっ!い゛っ!や゛っ!じじっ!い゛っ!・・・じねっ!じにだっ!ぐな゛っ!びゃ!ぱぴゅっ!?・・・!・・・!?」 しぶとく罵声をあげていた赤れいむだったがやがて何も言わない餡子の塊になった。 人間の目線の先にはミンチなった赤れいむを見て 「おぉ、ぶざまぶざま」と言わんばかりの笑みを浮かべているまりさ、むき出しの目を細めて満足そうにしている。 気分が悪い。まりさはお兄さんがこちらを見ている事に気がつくとわざとらしく「はっ!」とした表情をし、へりくだった笑みを浮かべた 「ゆっ!ゆへへっ!お、おにいさん・・・ゆっくり聞いてね・・・! まりさの巣はお兄さんに荒らされてもう住むことができないし世話をさせていたれいむもどこかへいっちゃったよ この体じゃうごけないし、もうすぐ冬になるから寒くてゆっくりできないよ・・・ お兄さんがかわいいおちびちゃんもころしちゃったね・・・!でも特別に許してあげるよ!」 パァァ!と笑顔を作るまりさ。 「でも条件があるよ!お兄さんはまりさをお兄さんのゆっくりプレイスへ連れて行ってね!」 「連れて行かないよ」 連れて行くわけが無い。まりさを助けたかったから赤れいむを殺したとでも思っているのだろうか? 「ゆゆっ!話は最後までゆっくり聞いてね!まりさはとってもゆっくりしたお歌を歌えるよ! 前に一緒にいたれいむよりもゆっくりできるはずだよ!ゆー♪ゆふぅぅー♪ゆすぽぉ♪」 花瓶の中から歌と称する雑音が聞こえてくる。曇る花瓶。それを舌で「ゆゆっ!」っとふき取るまりさ 「とってもゆっくりできたでしょ?ならまり「連れて行かないよ」」 「ぎい゛でね!冬にな゛っだらじんじゃうで「連れて行かないよ」」 「まりざはうごけな「連れて行かないよ」」 「ゆっく「連れて行かないよ」」 「ゆぎぃ!聞げぇぇ!じじいぃ!じにだぐな゛い゛!じんだらゆ゛っぐりできないいいいい!」 まりさの願いが聞き入れられる可能性は0である。 こうなってしまってはもう死ぬしかない。身の程をわきまえなかった振る舞いの結果がこれである。 それなのにまりさはこれから訪れる死を受け入れる事はできない様だった。 理不尽である!フェアーで無い!とその目が訴えかけている。 このような姿になってもまだ生を渇望し、目先のゆっくりを求めた。 叫び声をあげ、死を拒絶するまりさ、もはや自分がどうしてこういう事になったのかも覚えていない様だった。 本当のゆっくリズムを理解しつつあったまりさは数分で元のゲスへ戻ってしまった。 そもそもゆっくりが言う「ゆっくり」という雲を掴むような捕らえようの無い概念に答えなど存在しないのかもしれない。 そんな親と子の修羅場を目撃したお兄さんは「一刻もこの場から去りたい」そんな衝動に駆られていた。 地面にちらばった虫や花、雑草、赤れいむの残骸、ゴミ、注射機、赤ゆっくりの飾り、全てをかき集める。 それを見てまりさは自分を連れて行ってくれる準備をしてくれていると勘違いした。 「ゆゆっ!やっとりかいしたんだね!あとかたずけをしたら まりさとおうちへかえろうね! おにいさんのゆっくりプレイスについたら なにをおいても まずまりさにあまあまをたべさせてね!」 まりさの言葉を聞き流し、両手に集めたそれをまりさの花瓶に詰め込んだ 「ゆぎぃ!なにじでるのおにいざんっ!ごみはごみばこでしょぉぉぉ!?ばがな゛の゛じぬっ・・・じぬのいや゛ぁぁぁ!」 ポケットの中の三匹の赤ゆっくり達の事も思い出し、無造作に花瓶に放り込む 「ゆぴゃっ!」と声を上げ次々に目を覚ます赤ゆっくり達「ごひゃん の じきゃん だにぇ!」などと見当違いの事を言っている。 最後にコルク栓で花瓶に蓋をする。それを木の根元の巣穴に放り投げ、ひたすら石を置き、土をかけ巣穴を封鎖した。 中からはまだお兄さんに呼びかける叫び声と赤ゆっくり達の暢気な声が聞こえてくる。 「春になって思い出したら連れて行ってあげるよ、それまではここでゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちぇいっちぇね!」 「ゆっくちちぇいっちぇね!」 「ゆっちち、ちちぇっちぇちぇ!」 反射的に元気のいい返事を返すまりさと赤ゆっくり達、その直後にまたなにやら叫び声をあげているが 人間はそれに二度と耳を貸すことは無くまりさの巣を後にした。 時としてかすかな希望は最高の絶望となる。本に書かれた一文を思い出し、 せいぜい苦しんで死にますように、との思いから放たれた一言であった。 その後、飴玉を「あまあまゆっくり!」と存分に堪能した親れいむがぽいんぽいんと巣へ帰ってきたが ガッチリと封鎖された巣穴を見て、れいむがゆっくりしている間に人間さんとまりさが冬篭りしてしまった!と思い込み 「ゆーんゆーん」と泣き叫んでいた所をお隣のぱちゅりーに保護されて、れいむはぱちゅりーの巣で冬を迎えた。 そしてまりさの巣からはなにやらゆっくりできないうめき声が聞こえると群れのゆっくり達の間で噂が流れ、 その後まりさの巣に近づくゆっくりは一匹も居なかった。 そのゆっくりできないうめき声は冬が過ぎて春になっても聞こえ 夏の一番暑い日にピタリと止むと、それから二度と聞こえる事は無かった。 おしまい このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/422.html
とある施設の一室でそのゆっくりは目を覚ました。 周囲を見渡すと自分と同じ形のゆっくりと黒い三角帽子をかぶったゆっくりが複数いる。 ほとんどのゆっくり達はまだ眠っているが数匹のゆっくりは目を覚ましていた。 部屋の中心には黒ずんで朽ちたものがあったが何かはわからなかった。 「ゆっくりしていってね!」 一匹のゆっくりが大きな声で叫んだ。それがまるで合図であるかのように寝ていたゆっくり達が目を覚ます。 「ゆっくり!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆ・・・」 次々とゆっくり達は目を覚ましていく。数分のうちに部屋にいるゆっくり達はすべて目を覚ました。 ゆっくり達はここが何処だかわからずキョロキョロと周りを見回している。 その時部屋の隅にある扉が開き一人の年配の男が入ってきた。 ゆっくり達が男に話しかける。 「ゆっ!おじさんだれ?」 「ここはどこなの?」 ゆっくりが達が尋ねると男が説明を始めた。 「こんにちは。ここはゆっくり繁殖場だよ」 「繁殖場?」 「最近天然のゆっくりが乱獲されて数が激減していてね、ここは数が減ったゆっくりを繁殖させて野生に返す施 設なんだよ。君たちのうち赤いリボンをしているのがゆっくり霊夢、黒い三角帽子をしているのがゆっくり魔理 沙と言うんだよ。そして君達はたった今生まれたばかりなんだ。だからここがどこだかわからなかったんだよ。 でも安心してゆっくりすればいいよ。」 まだ何の知識も持っていないゆっくり達は素直に男の言うことを信じ飛び跳ねて喜んでいる。 「そうそう、生まれたばかりでお腹が空いているだろう?食べ物を持ってきたよ。」 男は持ってきた和菓子や洋菓子をゆっくり達の前に置いた。 「おいしい!」 「うっめ!」 「メッチャうっめ!」 ゆっくり達は満足そうに与えられた食べ物をたいらげた。 男は部屋から出て行く際に、 「外は危険だからこの部屋から出てはいけないよ。外から危険なものが入ってこないようにこのドアには鍵をかけ ておくよ。」 ゆっくり達は男の言うことを素直に聞き入れゆっくりしている。そしてお腹がいっぱいになったせいか眠りにつ いた。 次の日、また男が部屋に入ってきた。ゆっくり達は歓迎する、 「おじさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり遊んでいってね!」 ゆっくり達は無邪気に飛び跳ねている。すると男は、 「今日はこの部屋にいる君達の半分を別の部屋へ移動させるよ。これだけの数がいると狭くて住み辛いだろうから ね。」 ゆっくり達は仲間が少なくなるのはいやではあったが、男の言うとおり部屋が狭いと言うことと、信用している おじさんが言うことなので素直に従った。 5分後、部屋にいたゆっくり達の半分は男の入ってきた扉から出て行った。 残ったゆっくり達は寂しそうだったが、部屋が広くなったのですぐに部屋を飛び回り喜んだ。 その後ゆっくり達は毎日やさしいおじさんに食べ物をもらいゆっくりとすごした。 -2週間後- ゆっくり種というのは成長が早いらしく2週間で生まれた時の3倍もの大きさになっていた。以前に比べると広 かった部屋も全員が自由に飛びまわれなくなってしまっていた。 いつものように男が入ってきた、 「おじさん、ゆっくりしていってね!」 まだご飯の時間ではなかったのでゆっくり達は不思議そうにしている。すると男は、 「そろそろ外の世界に慣れさせる頃だね、明日から一匹ずつこの部屋から出てもらうからね。」 「ゆ!!!」 ゆっくり達はびっくりした。2週間優しく世話され満足な生活をしていたため生まれた日に説明されたことをす っかり忘れていた。 「数が減っているゆっくり達の数を増やすために必要なことなんだ。わかってくれるね?」 ゆっくり達は不安そうな顔をしている。 「大丈夫だよ、すぐには野生には返さないから。ゆっくり慣れてもらうつもりだから安心していいよ」 おじさんの優しそうな笑顔を見てゆっくり達はいつもの陽気な顔に戻っていった。 「それじゃ明日から一匹ずつ出てもらうからね。緊張せずにゆっくりしてればいいよ」 そう言って男は出て行った。 そして次の日から一匹ずつゆっくりが外の世界へ旅立っていった。 -数十日後- 部屋にはゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の2匹だけになっていた。部屋から出て行ったゆっくり達がこの部屋に 戻ってくることはなかった。2匹は早くみんなのもとへ行きたかった。もうすぐおじさんがやってくる頃である。 扉が開く、 「やぁ、2匹で寂しい思いをさせて御免ね。今日はゆっくり霊夢の番だよ。抱えて部屋からでるから静かにしてい ておくれよ。」 「おじさん、ゆっくりしようね!」 男はゆっくり霊夢を抱え部屋から出て行こうとする。ゆっくり魔理沙は、 「もっとゆっくりしていって!」 と叫ぶが男はそれが聞こえなかったかのように部屋を出て行った。 部屋から出てしばらく歩くと目の前にゆっくり魔理沙を抱えた金髪の女性が立っていた。 「今日もゆっくりしようね!!!」 ゆっくり霊夢は無邪気そうにしている。 その時! 「では始めます」 おじさんがそう言った瞬間ゆっくり霊夢は宙を舞っていた。 「ゆっ、ゆっくり!?」 ゆっくり霊夢は驚愕の表情で何が起こったかわからないままおじさんとの距離がどんどん遠ざかっていく。 その時なにやらやわらかいものにぶつかりぽよんとはねてコロコロと転がる。 ゆっくり霊夢は目の前で巨大なゆっくりがのっそりと動くのを見て、叫ぶように、 「ゆゆゆゆゆゆっくりしていってね!!!」 といって投げられた方向に向かって一目散に飛び跳ねていく。はじめて見るものだが本能が危険だと言っている ようだ。そして扉にたどり着くが開かない。 「早く扉を開けてね!!! 」 ゆっくり霊夢の後ろでは巨大なゆっくりが飛び上がって向かってくる。 「早くして!お願い!おじさん!たずげでぇぇぇぇぇぇ!」 ゆっくり霊夢は顔がくしゃくしゃになるほどに号泣し、おじさんに哀願している。 そんなゆっくり霊夢を尻目に巨大なゆっくりはその巨体に見合うだけの分厚い下のびろーんとのばしゆっくり霊夢 に巻きつける。 「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」 号泣するゆっくり霊夢は悲しげな絶叫を残して巨大なゆっくりの中へ飲み込まれていった。ゆっくり霊夢は見た、 数日前まで自分と一緒の部屋で暮らしていたゆっくり達がそこにいた。ほとんど原型を残さないほどばらばらで 意識がないもの、大部分がくずれているがまだ意識はあるもの、少し皮がなくなり中身の餡子が見えているもの。 意識のあるものはみな号泣していた。そして巨大なゆっくりの口が開いたとき信頼していたおじさんが見えると、 みんな視線をおじさんに向け、 「おじさんだずげでぇぇぇ」 「もっとゆっくりぢたいよー」 「ここからでだいー」 と哀願する。 しかし男はゆっくり達のしっているおじさんではなかった。まったくゆっくり達には興味がなさそうに金髪 の女性と話をしている。 そして無慈悲にも巨大なゆっくりの口が閉じられ中は暗闇で満たされる。 ゆっくり達は、意識がなくなるまでの数日間この絶望的な状況でただひたすら号泣することしかできないのであっ た。 End 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでくださった方々、まずはお礼を申し上げます。 6月頭にある画像掲示板でゆっくりがいじめられている画像を見て。他にないものかと探し、この掲示板までたど り着きました。そして過去スレの“ゆっくり加工場”のtxtを読み衝撃を受けました。 そして誠に勝手ながら加工場の設定をお借りし、素人ながら文章を書かせていただきました。 加工場の文章を考えた方へ このたびあなた様の作成されたゆっくり加工場で巨大ゆっくりレティに食べられる霊夢の生涯を勝手に書かせてい ただきました。もしこのことにお怒りでしたら、この場をかりてお詫び申し上げます。 みなさんが希望するのならば、ゆっくり達が生まれた次の日に部屋から連れて行かれたゆっくり達がどうなったか を書きたいと思います。 あと、ゆっくり達が生まれたときは小さくて2週間で大きくなるというのは物語の都合上私が勝手に考えた設定で すのであしからず。 ゆっくり加工場系15 ゆっくり魔理沙の生涯『加工編』